荒波少女
□第21話 南海の大決闘!
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円「さあ、練習再開だ!」
綱「よし、行くぜ。あそこに蹴り込みゃあいいんだな」
条兄ぃが蹴ったシュートは、塔子が反応出来ないくらいのスピードで、守兄ぃがなんとか弾ける程の威力だった。
円「すげえ…、凄いじゃないか綱海!」
「初めてなのに凄いよ条兄ぃ!」
綱「だろ?」
塔「自信ありそうじゃん」
綱「ま、サーフィンに比べりゃサッカーなんてどうってことねえよ」
塔「!、サッカーだってそんなに甘くないよ!」
綱「どうだかなあ」
塔子の言う通り、サッカーだって楽しいけど難しいからなあ…。
鬼「綱海!」
鬼道からパス。条兄ぃは…見事に空振りした。絶対やると思った。次のパスは、一之瀬がパスカットした。
夏「全然できないじゃないの…」
吹「蹴るだけがサッカーじゃない」
「いやでも、今日が初めてな訳だし…」
あ、鬼道がアドバイスしてる。タイミングを計れ、か。波のタイミングを計るのと同じだよ、条兄ぃ。
一「『フレイムダンス』!」
一之瀬が奪ったボールがリカに回って、そこからシュート。そこに条兄ぃが飛び込んで蹴り飛ばした。
塔「たあっ!」
転がったボールを塔子が回転蹴る。立向居の目の前で曲がったボールを、今度は顔面で止めた。らしいっちゃ…らしいよね。
円「いいぞ!綱海!」
「ナイスファイト!」
塔子が打って、条兄ぃがカットするのが続く。みんなが唖然とするくらい、慣れるのが早い。
一「もう一度シュートだ!」
リ「塔子、今度こそ決めるで」
塔「おう!」
塔・リ「『バタフライドリーム』!」
立向居が反応する前に、シュートはゴールに突き刺さった。完成したんだ。
綱「やるじゃねえか」
鬼「綱海!今度はお前の番だ」
綱「おう!」
そう言って鬼道がパスを出すけど、ことごとくカットされてパスを受けられない。
綱「くっそ…、諦めねえぜ!」
立向居が弾いたボールが、条兄ぃの傍へ行く。
綱「ええい!ドリブルなんてめんどくせえ!ゴールにいれるならどっから蹴ったって同じだ!」
「え」
ボールに向かって跳んだ条兄ぃが、サーフボードのようにボールに乗って勢いよく波を呼び起こした。
綱「『ツナミブースト』!」
強い波を纏ったシュートが、水飛沫をあげながら守兄ぃへ飛ぶ。
鬼「止めろ!円堂!」
円「パッと開かずグッと握って、ダン…!、ギューン!」
『!』
「なんか出た…」
守兄ぃの拳から、拳の形をした何かが出た。そして砂煙が収まるとそこには、大破したゴールがあった。
即席で作ったやつだけど、結構頑丈に作ったのに…。それだけ凄い威力の必殺技だったんだ…。
「鬼道、もしかしてこれ狙ってた?」
鬼「さあな」
曖昧に誤魔化されたけど、きっとそうなんだろうな…。
綱「なんだ簡単に出来ちまったなー、やっぱ俺って天才だわ」
「ほんと天才だよ…」
円「凄いぜ綱海!」
綱「へへっ、見たか。これが俺の『ツナミブースト』だ!」
初めてのサッカーで必殺技を編み出しちゃうなんて…本当に凄い才能だ。
もし、条兄ぃがチームに入ってくれたら…ないか。
***
近くの小屋で一晩を過ごすことになって、暇だからそれぞれ時間を潰す。あたしは守兄ぃ達とババ抜きだ。
塔「なあ美波、何で綱海のこと"条兄ぃ"って呼んでんだ?同い年だろ?」
「え?条兄ぃは、立「ババだー!」
あ、立向居ババ引いたんだ。鬼道が1枚突き出してたし…。そんな風に言ったらバレちゃうって。
その時、小屋のドアが開いた。そこにいたのは………魚?
『ええ!?』
綱「ははっ、邪魔すっぜ。これ、食わせてやろうと思って釣ってきたぜ」
「何だ、条兄ぃか…」
円「あ、ありがと…」
それにしても釣ってきたって…こんな大きな魚釣れるんだ…。
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