荒波少女
□第16話 激闘!最凶イプシロン!!
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しろ君を探しに行くと、しろ君の苦しげな声と流れる水の音が聞こえた。
吹「点を取るんだ。僕が、取らなきゃ…。フォワードも、ディフェンスも、ちゃんとやらなくちゃ。完璧に、なるんだ」
苦しそうな声に思わず固まる。しろ君は…ずっと悩んで、苦しんできたのかな。
なんとなくそんな気がしてたのに、何もしなかった。ちゃんとわかってなかった。
今までも無理して笑ってのかもしれない。
吹「美波ちゃん?」
「え、あ、しろ、君」
吹「どうかしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
吹「そっか。僕ね、頑張るよ。フォワードもディフェンダーもちゃんとこなすから。頑張るから、だから、一緒に完璧になろう」
ゾワッとした。いつもみたいに笑って、戻ろっかと歩いていくしろ君を追う。
目が、金色だった。
***
ピーッ!
後半開始。前半と同じように、一進一退で均衡してる。
鬼「吹雪!プレスをかけろ!」
「しろ君…」
その声に反応したしろ君はマフラーを握り締めて、どこか苦しそうな感じでプレスをかける。
吹「ダメだっ…、ここは僕に、任せろっ!『アイスグランド』!風丸っ!」
風「『疾風ダッシュ』!っ、しまった!」
ボールを取られる。よし、ここは!
「『荒波』!」
今度は上手くいった。
吹「美波ちゃん!」
「しろ君っ!」
ボールを受け取ったその時、しろ君からアツヤに代わった。
吹「お前は…、引っ込んでろ!」
「あ、しろ君っ」
アツヤがゴールへ走る。
鬼「サイドから崩せ吹雪!パスだ!」
吹「点取るには俺が必要なんだろ!」
鬼「おい!待て!」
鬼道の制止を聞かずに、アツヤはシュート体勢に入った。
吹「吹き荒れろ!『エターナルブリザード』!」
デ「『ワームホール』!」
『エターナルブリザード』はさっきよりパワーは上がっていた。けど、止められた。
吹「くっそまたか!」
デ「いいぞ。もっと激しく蹴りこめ。我が闘志を燃え上がらせるのだ!」
吹「ふざけやがって…」
デ「お前も打ってこい!先程のシュートはなかなかのものだった!」
「やだ!」
あたしを見ながら言ったデザームに即答で拒否。
アツヤのことを知ってるのは、あたしだけ。
あたしが、あたしがしろ君とアツヤを支えてあげなくちゃいけないんだ。
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