荒波少女
□第15話 デザームの罠!
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いつもより早く目が覚めて外に出ると、しろ君がいた。
「おはよー、しろ君!早いね!」
吹「おはよう美波ちゃん。僕達だけじゃないみたいだよ」
「あ、守兄ぃ!」
続々とキャラバンから皆が降りてくる。テントからも塔子が顔を出した。
円「今日も特訓開始だ!」
『おー!』
朝食の前に特訓して、食べて食休みを少ししてからまた特訓。
「よっし」
昨日は出来なかったことが、だんだん出来るようになってくる。
鬼「美波、吹雪を呼んできてくれないか?」
「了解!」
フォワードの練習をしているしろ君のところへ。ドアが開いたことに気づいて振り向いたしろ君の瞳は金色で、アツヤになっていた。
吹「なんだよ。オレになんか用か?」
「あー、正確にはアツヤじゃなくてしろ君の方。鬼道がディフェンスの練習にも入ってくれって」
吹「うん、わかったよ」
「(あ、しろ君に戻った)」
それにしても、フォワードもディフェンスもやるとか大丈夫かな…。
「大変だよね。両方のポジションやるとか…」
吹「ううん、平気だよ。それに、これくらい出来ないと完璧にはなれないから」
「そっか…。あたしに出来ることがあったら何でも言ってね!」
吹「ならよ」
「わっ」
いきなりアツヤになった。なんだろ。
吹「士郎がボールを奪ったら美波が繋げ。それでオレが決める。完璧だろ」
「お、おー!」
吹「お互い頑張ろうね、美波ちゃん」
「うんっ!」
それから鬼道達のとこに戻ってディフェンスの練習。やっぱりしろ君に頼った感じになってるなあ…。
あたしもがんばらないと!
「うわっ」
風「!、大丈夫か!」
「あはは、大丈夫」
意気込んだ矢先に転けるとは…。その時、しろ君はボールを蹴り出した。
吹「…やめだ。こんなトロいことやってられるか!」
「ちょっ、ア…しろ君!」
走り出したしろ君を追う。行き先は思った通りフォワードの練習が出来るところ。
吹「俺はシュートを決めなきゃいけねえ。完璧こそ全て!くらえデザーム!」
殺気立って何度も何度もシュートを打つ。視界には誰も入ってなくて、頭にはデザームのことしかないんだろう。
「しろ君…アツヤ…」
春「イプシロンのキーパーに『エターナルブリザード』を止められたのが、よっぽど悔しかったんですね…」
夏「しばらく収まっていたスタンドプレイも復活ね。まあ、それも魅力といえなくもないけど…」
秋「まさか、染岡君の離脱が影響しているの…?」
染岡とやっと仲良くなれたんだもんな…。『ワイバーンブリザード』も完成したのに…。
心配だけど、練習に戻る。でもなかなか集中出来ない。
風「吹雪のことが気になるのか?」
「え、あ、うん。ちょっとね」
風「今は自分の練習に集中した方がいいぞ」
「そう、だよね…」
それからあたしはなんとか皆の足を引っ張らないようにして、最高レベルをクリアすることが出来た。
円「よし、明日はがんばるぞ!」
『おーっ!』
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