荒波少女

□第14話 一之瀬!最大の危機!!
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凉「まさかこんなところで美波に会うとはね…」

「あたしもだよ、ふー君…風介」



りゅー君をリュウジ、ヒロ君もヒロトと呼ぶことにしたから、ふー君のことも風介と呼んでみる。



それにしてもこんな所で一体何してたんだろ。ヒロトといい風介といい、マスターランクのキャプテンはそんなに暇…んなわけないか。



凉「美波…、そのジャージは…」

「雷門中のジャージだよ」

凉「雷門…」



風介が動揺したのが簡単にわかった。



凉「雷門…円堂…!まさか君は円堂守と何か関係が…?」

「守兄ぃはあたしの双子の兄だよ」

凉「っ…」



あたしがそう言えば、風介は辛そうな、苦しそうな、複雑な表情になった。



「風介はさ…、エイリア学園なんだよね…」

凉「!、何故それを…」

「リュウジに聞いた」

凉「そうだったのか…」



動揺を隠すかのように髪を梳く。表情が固い。



凉「敵同士、か…。皮肉なものだな」

「でも、そのおかげでまた会えたし結果オーライだよ」

凉「美波……、それもそうだな」



苦笑いを浮かべる風介。でも今言ったのは本心だ。この戦いがなければ、塔子ともしろ君とも夕弥とも明王ちゃんとも会えなかったかもしれない。



みんなと戦うのは辛いけど…。



凉「美波、よかったらここを回らないかい?」

「ここって…、ナニワランドを?」

凉「敵味方関係無しに、だ。少しくらいならいいだろう」

「うん!」




この時美波の頭の中からは、当初の目的は完全に抜けていた。











凉野side

美波に会ったのは本当に偶然だった。



エイリア学園の修練場があるナニワランド。ここのことを雷門が嗅ぎ付けたという情報が入り、私が出向くことになった。



まあ今はどのチームも使っていないし、特に問題はないとは思うのだが。



そこで目に入ったのは誰かのハチマキを持った不良。1度しか会ったことはないが、今でも好きな彼女が巻いていたものに似ていて、不快になって、



凉「『ノーザンインパクト』!」



理不尽だと思いつつも、周りに一般人がいるにも関わらず必殺技を腹にぶちこんだ。



まさかそれの持ち主が彼女…、美波だとは思いもしなかったが。



そこで知ったのは、美波が円堂守の双子の妹で雷門の選手。そして彼女といずれ戦わなければならないということ。



彼女は既にレーゼ…、緑川リュウジから話を聞いていたらしく、私がエイリア学園だということを知っていたようだ。



ジェミニストームやイプシロンの何人かが、雷門と戦って戻ってきた時、様子がおかしかった理由が漸くわかった。



だが父さんのためだと、戦いたくないという思いを振り切らなければならない。だから、



凉「美波、よかったらここを回らないかい?」



敵味方関係無しに、ここを美波と回ることにした。彼女は快く了承してくれた。



極力表情には出さないようにしたが、嬉しかった。大好きな美波が隣にいるのだから。



凉「行こうか」

「そうだね!」



手を差し出せば、なんの疑いもなくその手を美波は握った。こういうところも全く変わっていない。別にそのまま連れていくわけでもないが。



心臓の鼓動が速くなったのは気のせいだと思いたい。





(風介顔赤いけど大丈夫?)
(ああ…)




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