荒波少女
□第12話 帝国の逆襲!後編!!
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不「佐久間!」
明王ちゃんが佐久間に出したパスを、しろ君がマークにつき、一之瀬がカットした。
一「渡すわけにはいかないよ!」
吹「君が壊れるところは見たくない!」
佐「くっ…」
ボールは染岡に渡ったけど、シュートを打つことを躊躇い一朗太にパスを出した。それをカットされ、ボールは明王ちゃんに回ってシュートを打たれる。
円「『ゴッドハンド』!」
守兄ぃがなんとか防ぎ、跳ね返ったボールは土門がクリアした。
円「全然ダメージが抜けない…」
普通のシュートなのにあんなに威力が強いなんて…。
鬼「目を覚ませ!自分の体を犠牲にした勝利などに、なんの価値がある!佐久間!源田!」
佐「わかってないのはお前だよ、鬼道」
源「勝利にこそ価値がある。俺達は勝つ。どんな犠牲を払ってでもな!」
不「説得なんて、無理無理。やつらは心から勝利を望んでいる。勝ちたいと願ってるんだ。シュートしてみろよ」
歩きながらドリブルで鬼道に近づいた明王ちゃんが、わざとボールを渡した。
挑発を受けた鬼道は、明王ちゃんに向けてボールを放つ。それは軽くトラップされた。
鬼「何故だ!何故アイツらを引き込んだ!」
不「俺は負けるわけにはいかねえんだよ!」
お互い周りそっちのけで激しいぶつかり合いを繰り広げる。
2人が同時に蹴りこんだボールが跳ね上がった時、ホイッスルが鳴って前半が終了した。
鬼「佐久間…、源田…」
秋「2人のために、試合を中止した方がいいのかも…」
土「そうだな。そうすれば、禁断の技を使わせずに済む」
「確かにそれが一番いいかもしれない」
瞳「試合中止は認めないわよ」
試合を中止すれば禁断の技を使わせずに済むかもしれない、土門の言う通りだと思ったけど、監督は退けた。
瞳「後半は私の指示に従ってもらうわ。吹雪君はフォワードに戻って。皆勝つためのプレイをしなさい」
秋「それじゃあ、佐久間君達が…」
瞳「これは監督命令よ。私の目的はエイリア学園を倒すこと。この試合にも負けるわけにはいかない!」
鬼「…試合を続けよう」
『!』
円「鬼道…」
「どうして…?」
鬼「確かに中止すれば佐久間達の体は守るとこができる。
だが、この試合は佐久間達の目を覚まさせるための試合。今のあいつらには、サッカーを通してでなくては、わかってもらえないんだ。勝つことに、禁断の技など必要ないということを。
もしここで試合を止めれば、佐久間達は完全に影山の影響下に置かれてしまう。そして、いずれあの技を使って、二度と試合できない体に…。
やはり、この試合で救い出すしかない!」
そう言った鬼道の顔は、決意に満ちていた。
円「いいんだな」
鬼「…構わない」
円「わかった。でも、佐久間達の絶対あの技を使わせないようにしよう」
「何か方法があるといいんだけど…」
鬼「…」
春「お兄ちゃん…」
どうすればと考えるような仕草をする鬼道を見て、春ちゃんが呟く。
吹「俺に任せな」
鬼「!、吹雪」
吹「源田ってやつがあの技を出す暇もねえくれえ、すげえシュートをぶちかましてやるよ」
染「俺も協力するぜ!」
鬼「吹雪、染岡…」
「スピードのあるシュートならゴールを割れるかも!」
一「大丈夫さ、鬼道。佐久間にボールを渡さない。サッカーができない辛さは、俺が一番わかってる」
鬼「一之瀬…」
円「サッカーが好きな奴に、敵も味方もない!やろうぜ!
2人を守って、そして試合にも勝つんだ!」
『おう!』
皆で力を合わせれば、きっと勝てるよね!
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