荒波少女
□第10話 かくされた力!
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皆がいるであろう漫遊寺中のグラウンドへ行くと、そこにはやっぱりイプシロンがいた。
その中の見覚えのあるメンバーがあたしの方を見ていた。覚えててくれたのかな。
漫遊寺が試合をすることを拒否すると、あの黒いサッカーボールを校舎の1つに叩き込んだ。
「!」
崩れる校舎を見た漫遊寺イレブンは、怒りから試合を受けることになった。
ホイッスルが鳴って試合が始まった。軽い身のこなしのプレイを見て漫遊寺は強いと思った。けど、
イプシロンの力はそれ以上だった。
影「無念…」
0ー15で惨敗。しかもイプシロンはまだまだ実力を出し切ってはいないように見える。なにはともあれこのままじゃ漫遊寺中を壊されちゃう…とまあそう思った時、
円「まだ試合は終わっちゃいない!俺達が相手だ!」
と守兄ぃが言った。
「そうこなくっちゃね!」
風「ああ、なんせ円堂なんだからな」
そしてイプシロンとあたし達雷門イレブンが試合をすることになった。ただ塔子が昨日の落とし穴で怪我をしていたらしく、目金も怪我で人数は10人。あれ、
「春ちゃん。これチャンスじゃない?」
春「!、11人目ならいます!木暮君が!」
ばっと春奈ちゃんが夕弥を示す。
『木暮ェ!?』
春「木暮君だってサッカー部の一員です!」
染「でも補欠だろ!大丈夫かよそんなそんなやついれて」
土「下手にうろちょろさられると、かえって邪魔になるし…」
春「そんなことないです!木暮君なら大丈夫です!だからお願いです!お願いします!」
「あたしも!夕弥ならできるからさ!」
春「キャプテン!お願いします!」
円「わかったよ、音無」
『ええ!?』
皆は驚いてるけどとにかく守兄ぃからOKが出た。瞳子監督も好きにしなさいとのこと。
「つまり出してもいいってことだよね!」
染「本当に大丈夫なのかよ…」
「問題ないって!」
皆は渋ってるけど、きっと大丈夫!
春「さ!」
木「でも、俺…」
春「何怖気づいてんの!皆を見返すチャンスじゃない!」
木「でも…、だけど…、でも……」
春「大丈夫だよ、木暮君なら。私、信じてるから」
木「!、俺を…、信じてる?」
春「ええ。信じてるわ。木暮君ならきっとやってくれるって」
「あたしだって、信じてるよ!」
木「…」
秋が持ってきてくれたユニフォームを渡す。背番号は6だ。うん、サイズもぴったし!
瞳「木暮君。君はディフェンダーをお願いするわ」
木「俺がディフェンダー?」」
瞳「適任だと思うけど、不服かしら」
木「別に。地味だなと思って」
夏「じゃあどこがいいの?」
木「こだわってないんでディフェンダーでいいです」
「ディフェンダーだって大事なんだからね!」
木「美波はディフェンダーなのかよ」
「主にディフェンダーでミッドフィルダーもやるしフォワードもたまーにやる」
あたしのポジションって結構変則的なんだよね。やっぱりリベロっていうんだろうな。
春「大丈夫!木暮君ならやれるよ。私、信じてるから」
木「あのさ、信じてるってそう簡単に言うなよ」
それだけ言うと、夕弥はフィールドへ走っていった。
「夕弥のポジションはこっちー!そこあたし!」
木「なっ、わざとだし!」
…間違いなくわざとじゃないよね。間違えただけだよね。
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