荒波少女

□第4話 脅威!エイリア学園!!
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「探したぜ!エイリア学園!」



降伏かと煽ってくるリュウジ――レーゼに、パンと守兄は持っていたボールを叩いて啖呵を切る。

そうだ、あたし達が探してたのは、サッカーでもう一度勝負する為だ。もうこれ以上破壊活動なんてさせない。

……リュウジ達に、させたくない。



「学校めちゃくちゃにされて、黙って引き下がれるか!」

「マックスや半田、皆の為にも!こんどこそお前達を倒す!」

「勝負だ!レーゼ!」



びしりと挑戦を叩きつけたところで、それは出来ないと突っぱねられた。何で。



「言った筈だ。我々はサッカーという1つの秩序のもとにおいて勝負をすると。10人しかいないお前達に我々と戦う資格は無い」



10人?怪我人はいてもちゃんと11人揃ってるじゃん。……もしかして、あたしが入ってない?

雷門ユニフォームを着た塔子が11人目を名乗って飛び出してきて、試合をする流れにはなったけど、納得がいかない。



「ねえ、これだと12人になるよ。まさか、あたしが入ってないとは言わないよね!」

「……我々はその女が試合に出ることを認めない」



びしりと指差せば、少しだけ苦々しげな表情をしたレーゼは突っぱねた。どうして。さっきは助けてって言ってたのに。



「おい宇宙人!何で美波を認めないんだ!美波だって立派な雷門イレブンの一員なんだ!実力だってある!それなのにムガッ」

「まあ落ち着け」



勢いよく突っかかる守兄の口を染岡が塞いだ。傘美野では試合には出るなってあんなに言ってたのに、言ってること逆になってるような。

……今すぐは難しいと、リュウジは言っていた。前の試合から日は経ってないのに、この試合で勝てるとは、正直思えない。

半田達みたいに怪我をする可能性だってある。だから今回は、あたしを試合に出したくないのかな。全部、想像でしかないけれど。

あたしだって、出来ることなら戦いたくない。でも戦わなくちゃならない。皆が戦うなら、あたしも戦う。



「そっちがなんと言おうと、あたしは試合に出るからね!」

「何故自ら傷つく道を選ぶ」



リュウジがあたしを傷つけたくないのは分かるよ。友達だから。

さっきのは緑川リュウジとしての頼みで、これはきっと、レーゼとしての試しと覚悟の問いかけだ。



「戦うよ、あたしは。サッカーが、サッカーが好きな人達が好きだから!」

「……いいだろう」



友達を助ける為に……友達と戦う。今度こそあたし達の、雷門のサッカーを見せてやる!

ジェミニストームの武器であるスピードに慣れて、パスを繋いで、次に繋がる勝機を探すんだ!



「よーし、行くぜ!みんな!」

『おーっ!』



雷門からのキックオフで試合は始まった。豪炎寺から染岡、一郎太とショートパスを繰り返して一気に敵陣へ攻め込む。

やれるかもしれない。そう思った矢先にボールを奪われて、ジェミニストームが攻め上がってきた。……負けない!



「荒波ッ!」

「遅い!」

「あっ……!」



あたしの必殺技はかわされて、そのままシュートを打たれた。駄目だ、想像以上に速い……!

あの速さではマジン・ザ・ハンドは間に合わないと、守兄はゴッドハンドを繰り出そうとしたけど、それでも出す前に決められてしまった。

雷門の攻めと守りは30秒も持たなかった。速さに目が追い付かない。どうにか追いついても、今度は必殺技が間に合わない。



「くそっ、止められなくてごめん!」

「でも必殺技は出せたんだ。まだまだ1点、勝負はこれからだ!」

「……そうだね、一郎太の言う通り!今度も狙ってく!」

「ああ!まだまだだ!」



……だけど、ジェミニストームのスピード、パワー、動きに誰も適わなかった。

得点をどんどん取られていき、ついには10点差。ベンチで見てるのと、実際に対峙した時に感じる速さは全然違う。

でも、負けるもんか。同じ人間なんだ。何かしらの弱点は隙は必ずある。何だっていい、見つけるんだ。



「(あれ……?)」



今のパスコース、さっきも見た気がする。ミッドフィルダーとディフェンダーの動きは……。



「美波、集中しろ!」

「ごめん!」



でも、あれが本当に攻撃パターンだとしたら、決まった動きがあって合図をしているとしたら、攻略の糸口が見えた気がする。

またあのミッドフィルダーがボールを持った。よく見ろ、観察するんだ。イチ、二、……!



「そこだ!」



思わず声を張り上げたのと同時に、青いマントが翻った。鬼道がパスをカットした!



「豪炎寺!」



ボールはフリーで前線を走る豪炎寺へ。これなら、いける!



「ファイアトルネード!」



渦巻く炎がゴールへ突き進む。急に曲がったかと思うと、驚く事にゴールポストに当たってあらぬ方向へ飛んで行ってしまった。

まさか、豪炎寺が外すなんて。今まで豪炎寺がシュートを外したことなんて、一度もなかった。止められるならまだしも、入らないなんて。

……でも、誰にだってそういう事もある筈だ。鬼道が読み勝ってパスカットも出来たんだ。流れは雷門に引き寄せられる!

鬼道が一郎太にに上がるように指示を出すと、
豪炎寺の方へ向かった。やっぱり鬼道も気づいたんだ。



「何か分かったって顔してるな」

「あ、一郎太。うん、ジェミニストームには攻撃パターンがあるんだ」

「なるほどな。だから鬼道は俺が取ったらって言ったのか」

「豪炎寺のとこにいったから、炎の風見鶏を狙うのかな」

「そういう事か……。よし、やってやる!」



再び試合は動き出す。パターンを読んだ鬼道は冷静だ。隙をついてボールを奪うと、前線へパスを放った。



「「炎の風見鶏!」」



今度こそ。そう思っていたのに、また外してしまった。しかも豪炎寺は着地にまで失敗した。蹴り込むタイミングもズレていた気がする。

どうも豪炎寺の様子がおかしい。調子が悪いのだろうか。でもSPフィクサーズとの試合では、普通にシュートを決めていたのに。


いくら考えても答えは見つかなくて、腑に落ちないまま、前半戦は終了した。




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