荒波少女

□第1話 宇宙人が来た!
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「私は、この日が来ることをずっと信じてたよ」

「秋……。いつも支えてくれてありがとうね!これからもよろしく!」

「うん!よろしくね」



秋は創部からずっとマネージャーとして支えてくれた。感謝してもしきれないくらいだ。

日本一になったあたしたち。なっちゃんに次に目指すものを聞かれて、考える。

日本一の、次。なんだろう?全国二連覇とか?フットボールフロンティアだけじゃないと思うんだよなあ。

サッカー部はあるのに出てない学校もあるだろうし、隠れた強豪とかがあったら、試合をしてみたい。



「一朗太はどう思う?次」

「次、か。……面白いじゃないか。きっとまだまだ強い奴がいっぱいいるからな」

「いっぱいってどこに?」

「世界だよ。もっともっと、強い奴がいるはずだ」

「なるほど、世界か!」



そういえば、一朗太はプロと戦ってみたいと言っていたことがある。

世界は広い。海の向こうには、まだ見ぬ強い奴らが沢山いるはずだ!



「よーし、世界目指してみんなで頑張ろうぜ!」


『おーーーッ!!!』



みんなで拳を突き上げる。世界。大きくて、イメージなんて到底出来やしない。それでも、ワクワクは止まらない。

そうだ。アメリカで有名な選手だった一之瀬なら、何か知ってるかも。後で聞いてみよっと。



「見えてきたぞ!稲妻町だ」



もう稲妻町だなんて、すっかり盛り上がってたから気づかなかった。あっという間に戻ってきたなあ。

ふいに、なんとなく窓越しに空を見たとき、なんか……黒いボールみたいなのが空からゆっくりと落ちてきていた。

……何あれ。変なの。



「ねえ、一朗太」

「何だ?」

「窓の外見てよ。なんか変な黒いのが降ってきてる」

「? なんだあれ」



そして、その物体は、あたしたちの目の前で雷門中に落ちた。


轟音と共に、激しい砂埃がたった。砂埃の中に、崩れる校舎が見えた気がした。



「……は?」



嘘でしょ。


バスを飛ばして雷門中に戻ってみると、イナズマイレブンのおじさんたちが倒れていて、校舎はただの瓦礫の山になっていた。

火来校長が言うには、宇宙人がどうとか。宇宙人って、なんだそれ。

首を傾げていると、飛行音を響かせながら、黒いサッカーボール?が飛んできた。そして、現れたのは……宇宙人?変な髪形。抹茶ソフトみたい。

この際、仮に宇宙人とする。それで、なんでこうなったのか、分からないんだが。激しく知りたいのだがっ!

宇宙人が言うには、エイリアという星から来た使徒で、地球の秩序であるサッカーで力を示すと。サッカーが地球の秩序って、意味が分からない。

サッカーをこんなことに使うなんて。ましてや、イナズマイレブンのおじさんたちを……!



「だからイナズマイレブンのおじさん達と戦ったって言うのか!だったら次は、俺達と勝負だ!」



守兄が啖呵を切るのに対して、勝負は終わったと言われた。おじさん達をボロボロにしといて、何が勝負だ。



「宇宙人だろうがなんだろうが、学校ぶっ壊されて黙ってられっか!」

「染岡……!」

「そうだそうだ!黙れ抹茶ソフト!」



グサッと言う音が聞こえたけど気にしない。少し落ち込んでたように見えたけど気にしない。



「見せてやろうぜ!俺達のサッカー!」



でも、宇宙人から放たれたシュートが、守兄がマジン・ザ・ハンドを出す前に、あたしたちを吹き飛ばした。

そのままシュートは突き進んで、サッカー部の部室に激突した。

黒いサッカーボールから放たれた紫色の光とともに、宇宙人は消えてしまった。



「っ、奴らは!?宇宙人はどこだ!」

「……消えた」

「消えた!?」



絶句する守兄。説明しようにも、消えたとしか言い様がない。あんなのを見せられたら、宇宙人だって信じるしかない。

さっきのシュートで壊された部室は、酷い有様だった。

……悔しい。40年前から、沢山の思い出が詰まった部室が、こんなことになるなんて。



「……恐ろしいシュートだったな。スピードもパワーも、あんなのは見たことがない」

「世宇子でさえ、さっきのシュートに比べたら……」

「マジン・ザ・ハンドでも止められなかったなんて」

「……いや、技を出す間もなかった。そうだろう、円堂」

「ああ」



そう。間に合わなかった。だから、あれが止められないと決まったわけじゃない。

……もし、技出せてたとしても、あのシュートを止めることは出来ていただろうか。その時、秋となっちゃんの携帯に連絡が入った。

秋に入ったのは一之瀬からの電話で、木戸川清修にも宇宙人が来たということだった。

なっちゃんには理事長から、傘美野中に宇宙人がいるということだった。



「傘美野中なら隣町だ」

「行こうぜ。助っ人に行くんだ!やられっぱなしで終われるもんか!」

「うん。行こう!」



……それにしても、あの宇宙人に既視感があったのは、気のせいだったろうか。

あたしには、宇宙人の知り合いなんかいない筈なんだけど。



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