頂き物・捧げ物
□お兄ちゃんは心配性(過保護!)
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言っておくが、オレはけして心配性じゃない。
普通の健全な兄という立場にいるが、一言だけ言わせてもらうぞ。
「洗い物ならオレが手伝うから立向居はもう寝ろ」
「いや、でも鬼道さんに任せてオレが寝るっていうのはちょっと…」
「今日はキャプテンと話があるから早く寝るって言ってなかったっけ、お兄ちゃん?」
「覚えがない」
キッチンで春奈と並んで洗い物をする立向居を睨みつつ、テーブルの上に肘をついて顎をのせる。
時折談笑を交えながらの作業。
なぜ立向居には手伝わせるのにオレには手伝わせないんだ。
円堂には先ほど詫びを入れたし、なんの問題もないはずだ。
…まぁ、このことは春奈に言ったら色々言われそうなので伝えていないが。
「立向居くん、これまだ汚れてたよ」
「わ、ごめんっ」
「やりなおーし!はい、もう一回」
「はは、音無さん顔に泡ついてるよ」
「うそっ。どこ?」
「口の近く。もう少し右側の…そこそこ」
「口の中に入らなくて良かった〜。ありがとっ」
つまらない。
非常につまらない。
血管のブチブチと千切れる音が聞こえそうなぐらい楽しくない。
立向居、そんなだらしなく笑うんじゃない。明日からスパルタメニューにするぞ貴様。
「春奈、やはりオレも手伝おう。立向居どけ」
「ちょっとお兄ちゃん!せっかく手伝ってくれてるのにその言い方は無いでしょっ」
「ま、まぁ、気にしてないから大丈夫だよ、音無さん。鬼道さんも音無さんが夜遅くまで起きてるから心配なんですよね?」
確かにそれも心配だが、一番の原因はお前だ。
まだ読みが浅いな。
立ち上がり、無言のまま春奈と立向居の間に入る。
春奈に小言を言われたが、今回ばかりは譲れん。
オレは許さないぞ。
「もうっ。じゃあ、お兄ちゃんは洗い流して私に渡して。私拭く係ね」
「わかった」
なにやら強張っている立向居から皿を受取り、水で流して春奈に渡す。
片側がどうも気に食わないが、仕方ないだろう。
順調に片付けが終わり、食器をさぁしまおうとした時に立向居が仕掛け出した。
「音無さん、危ないからオレ片付けるよっ」
「でも手伝ってもらったもの。これぐらい私がやんなきゃ」
「いいからっ、ほら、鬼道さんにも心配かけちゃうしさ」
ね?と、首をかしげて春奈の持っていた食器類を奪い取ってしまう立向居。
その時の春奈の驚いたような照れたような顔をオレは忘れはしないだろう。
…よし、明日の練習メニューを考えよう。
(スパルタ、決行)
***
夏休み企画verNL!に参加させていただきました!
普段はBLの話ばかりをしているような気もしますが、NLも大好きです。
その中でも立春はトップクラスに好きですね。あと円夏。この2つがマイフェイバリット。
立春は鬼道さんがイライラしたら妨害に走ったりするところまで込みで好きです。
大人げないなあと思いつつ(実際まだ中学生)、そんな鬼道さんが尊いし、健全な立春コンビが可愛いです。
ありがとうございました!
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