とある夏の思い出

□15日目
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何故か今日は朝から青葉の姿が見えない。

いつもならの朝ごはんをつまみ食いをしに台所にいるのに、その台所にすらいない。

ヒロトなら知ってるかもしれないから聞いてみるけど、知らないらしい。

まあ幽霊だし、別に食事を取らなくてもいいとは言っていたけど(そう考えるとなんか空しくなる)。

と思ってたら、朝ごはんが終わった広間にアツヤと一緒にいきなり飛び込んできた。



「みんな!サッカーやろうぜ!」



汗びっしょりで、あの円堂のセリフを言いながら。



「はあ?サッカー?お前がかよ」

「実は練習してたんだよね」

「そんなに汗びっしょりなのって、練習してたから?」

「そうそう」



そう返事をしながら青葉は腕で汗を拭う。アツヤを少しだけ汗をかいていた。

タオルを渡そうかと考えたけど、次の瞬間にはシャワーでも浴びたかのように綺麗になくなっていた。

…いや最初っからそう思ってたけどさ、幽霊の身体ってどうなってんの?



「超次元だから」



いやそれ言ったら色んな意味でおしまいだから。



「アツヤとずっと練習してたからね!ポジションはディフェンダーで!」

「青葉が俺を止められるわけねーだろ」

「ナメてると、痛い目見るよ、チューリップ。あ、一句出来た」

「素晴らしい川柳だな」

「チューリップは季語だろ」

「それって自分がチューリップって認めてることになるよ」

「あ」



…うん、もう俺はツッコミとかいれないからね。ぶっちゃけいつものことなわけだしね。



「青葉がサッカーか…」

「お手並み拝見、ってところね」

「ディフェンダーってことは、俺と一緒にやれるね」

「させないわよ、兄さん」

「どうせならミッドフィルダーがよかったッポ」

「アツヤが人の壁くらいにならなるだろうって言ってたからさ」

「大丈夫なのかよ、それ」

「大丈夫だって!」



ニヤリとなんだか意味ありげな笑みを浮かべた青葉。隠し玉でもあるのかな?

能ある鷹は爪を隠すっていうし、意外と才能あったりして…とか。



「ちょっと楽しみかも」

「そうだね。とりあえず適当にチーム分けしようか」

「ならば男子対女子でどうだ」

「男子対女子?」

「ああ。不満か」

「ヘッ、いいぜ。のってやる!」

「ちょ、晴矢…」



挑発的な言い方にのったのはやっぱり晴矢。あーあ、まあ確かに男女差とかはあるわけだけど…。


相当練習したみたいだし、青葉の実力ってどれくらいなんだろう。



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