イナズマ青春記

□第2話 転入、練習、そして試合
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どうもどうも花咲かなです。転校2日目の放課後、明日のフットボールフロンティア決勝に備えて、河川敷で特訓中です。

出られるかどうかなんて関係ない。出られないとしても、全国レベルの円堂たちの練習相手になるには、もっと実力をつけないと。

んでもって各々必殺技のことをイメージしつつ、ポジションにあった練習をしていたのですが、



「出来ただと…」



目の前に転がるボールを見て、ゆみがそう呟いた。いやはや、やれば出来るもんだった。ちなみにあたしも出来ました。嘘だろ。

流石超次元といったところなのかね。便利過ぎる。りなもほぼ完成してるし…。……あ、そうだ。



「すっかり忘れてたけど、昨日出来ちゃったあのシュート技にも名前付けないと!」

「ああ、そういえば昨日の時点で、もう必殺技出来てたようなもんか……」

「はい。案がある人ー!」

「シャイニングスターダストってのはどう?」

「りな、それ微妙に厨二チックで10年後くらいに恥ずかしいやつ」

「…言うね、ゆみ」

「あーもー、面倒だからそれでいいや。はい、決定!」

「かなは元々厨二だもんね」

「ゆみお姉さまちょっと酷い」



そもそも今あたしたちは中学二年生じゃないか!



「あ、折角アツヤにコツ教えてもらったから、エターナルブリザードの練習してもいい?」

「いいよ」

「ありがと」



ユニフォームの裾で汗を拭ったりなが、ボールを蹴り上げ、右足を勢いよく振り抜いた。



「エターナルブリザードッ!」



氷の塊がゴールへ飛ぶものの、やがて氷は霧散し、ボールも逸れてしまった。アツヤの技だし、そう簡単には無理か。

横を見ると、ゆみは厳しい表情をしていた。ん?どしたん。



「あのさ、りな」

「何?」

「二期のこと、考えてるでしょ。出来るだけ負担を減らそうとか」

「…まあね」

「やっぱり。でも、そういうことってやってもいいと思う?」

「それはそうだけど」



りなは苦々しげに口元を歪めた。気持ちは分からなくもない、と思っていると、「おーい!」と元気な声が聞こえた。

声が聞こえた方に目を向ける。堤防の上に、バンダナ教祖様と水色ポニテが見えた。手を振りながら駆けてくる。



「円堂じゃん。特訓帰りってとこ?」

「ああ!3人も特訓か?」

「まあね。必殺技の練習、っていうか…」

「もしかして出来たのか?」

「うん、なんとなく形になった感じ」



りなの返事に、風丸は目を見開いた。そりゃまあ、驚くわな。「凄い才能だな」というコメントに、若干闇を感じるのですがそれは。



「すっげーな!ゆみとかなも?」

「一応」

「まーね!」

「へー!」



キラキラとしたを目を向けられて、なんだか照れ臭い。純粋な中学生眩し過ぎる。

それから、響木監督への挨拶がてら、今日こそ雷雷軒に行こうと誘われ、行くことになった。

女子が選手というのには特に何も言わず、快く歓迎してくれただけでなく、チャーハンをおまけしてもらった。やったね!

あ、ラーメンはとても美味しかったです。おかわりしちゃったぜ。






***


そして当日の控え室にて、オーバーワークからか栗松が足を痛めている事が発覚し、急遽ゆみがスタメンに入ることになりました。いやマジで。



「試合出られてよかったな!」

「はは……円堂の後ろに後光か何か見える気が……」

「さすが教祖様!」

「……そうだね」



ゆみからいい反応がない。目が死んでるし、あまりの展開に頭が追い付いていないのだと推測する。



「でも女子ってフットボールフロンティア出られるの?」

「中学サッカー協会が発行するライセンス――言わば許可証があれば出られるが……」

「? 何だ、ライセンスなら申請して取得しているんじゃないのか?」

「いやでも監督、もし持ってたらとっくに言ってますよ」

「調べてみたが、許可は降りていたぞ」

「「「え」」」



それはどういうことだ。



「……ああ。もしかして、ライセンスってこれのこと?」



そうゆみが取り出したのは、一昨日の封筒に入っていたカード。鬼道に見せると、「確かにライセンスだ」だそうだ。



「何で持っているんだ?」



ごもっともな豪炎寺の質問に「アイツから送られてきた」と返すと、全員が納得の表情になった。アイツで通じたんかい。そんなことより、



「さー、着替えるぞー!」


『待て!!!』



2年男子メンバー(円堂除く)が綺麗にハモった。夏未ちゃんは額に手を当て、秋ちゃんと春奈ちゃんは苦笑している。

口元を盛大にひきつらせた鬼道が、口を開いた。



「…まさか、ここで着替える気か?」

「え、よくね?部室と同じじゃん」

「ちゃんと説明しなさいよバカ」

「ジャージの下にユニフォーム着て、脱ぐだけでいいようにしてあるから大丈夫だよ」



一同納得。早着替えは得意だけど、流石に男子だらけかつ広々とした控え室で下着姿になる勇気はない。



「じゃ、脱ぐから」

「その言い方だと誤解を招くぞ」

「やだ、豪炎寺の思春期」

「…」

「すまん。ていうかね、貧相な体見てもつまんねーよ?」

「いや、そういう問題じゃないだろ……」

「半田、スパイクの紐ほどけてる」

「え」



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