荒波少女in世界

□第10話 究極対決!久遠ジャパンVS瞳子ジャパン!!
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ネオジャパンの先制で1点ビハインドの状況。……でもまだ1点、取り返せる!

気を取り直して果敢に攻める。けれど、イナズマジャパンの攻撃はなかなか得点に繋がらない。

キラースライド改にアースクエイク、ダブルサイクロン。進化した必殺技の数々が、強固な壁になって立ち塞がってくる。

もちろん守備だけじゃない。更に得点して突き放そうと、ネオジャパンは猛攻を仕掛けてきた。



「水龍ッ!」

「フッ、やるな美波!」

「どうもね!成長してるのはあたし達だって同じだ!」

「流石だ。それでこそ倒し甲斐があるというもの!」

「負けない!」



あたしと治、同時にボールを蹴り込む。重い。押し切られそうだ。力は治の方が強い。……でも負、けたくない!

足に力を込めた時、フッと軽くなって、あたしは前につんのめった。やられた。力を利用された。バランスを崩された。

そのまま治はあたしを抜き去ると、ゴール前の改にパスを出す。



「っ、しまった!守兄!」

「グングニルV2!」

「これ以上点はやらないぜ!正義の鉄拳ッ!」



負けじと守兄が繰り出した正義の鉄拳は、さっきよりパワーが上がっていて、見事に跳ね返してみせた。究極奥義に完成なし!

守兄のセーブで勢いづいたのも束の間、攻め込んだ虎丸がハーヴェストに阻まれた。固いディフェンスを崩しきれずに一進一退の状態だ。

ゴールは守兄が死守してる。けど守ってばかりじゃ持たない。何か変化が、この膠着を打破するような、変化が欲しい……!

あたしのスライディングでボールがラインを割った時、監督が選手交代を言い渡した。

前半残り僅かの中、交代で入るのは一郎太だ。試合が始まってすぐベンチからいなくなってたけど、いつの間に戻ってきてたんだろう。

どこで何をしてたのか、一郎太は汗だくで息を切らしている。



「前半の間何してたの?」

「ちょっと特訓だ。鬼道、次の攻撃なんだけど」

「ああ。風丸、お前が攻撃の起点だ。いいな」

「任せてくれ」



交代した一郎太に、守りを強化したフォーメーション。監督の意図を鬼道も一郎太も分かってるらしい。

ヒロトのスローインをリュウジが受けようとした時、治が割り込んでボールをかっさらった。……これ、さっきと同じ流れだ。

今のリュウジはイプシロンやジェネシスだったメンバーとも互角に戦えると、ヒロトは言っていた。なのにその力が発揮出来てないように思う。

リュウジはまだ、自分を信じきれてないのかな。どうにか、殻を破るようなプレーが出来たら……。

ボールはネオジャパンが攻めてくる前に、すかさず鬼道が奪い返して、一郎太へ回した。すぐディフェンスを固めにくるけど、一郎太は慌てない。

踏み込んで一気に助走をつけると、勢いのままに地面を蹴った。そのまま一郎太は、宙を舞うように暴風の中を飛び回る。



「風神の舞!」



巻き起こった風がネオジャパンのディフェンスを蹴散らした。特訓してた必殺技、完成したんだ!

流れを掴んだイナズマジャパンは、豪炎寺の爆熱ストームでドリルスマッシャーV2を破って、同点に追い付いて、ここで前半は終わった。

ハーフタイムは風神の舞の話で盛り上がった。命名したかったらしい目金は不貞腐れていた。今度機会があったら頼もうかな?

そんな中でネオジャパンの方をそっと窺うと、瞳子監督がじっと一郎太を見ていた。その冷静な瞳の色は深くて読めないけど、きっと、後半の作戦を考えてるんだ。

あたしが見ているのに気づいた瞳子監督が不敵に笑う。見透かされた気がして後退りかけた時、肩に手を置かれた。振り向くとそこにはヒロトがいた。



「大丈夫さ、俺達なら」

「……うん!後半、点取ってこうね!」

「ああ!」

「よーし、この調子で逆転だ!」

『おー!』



後半戦。風神の舞対策か、ネオジャパンは選手を入れ替えてきた。流石は瞳子監督。それでもイナズマジャパンは負けてない。ドリブルをカットしたヒロトが上がる。

パスを求めた一郎太に二人マークにつく。風神の舞を警戒してるんだ。でもその分フリーの選手が増える。周囲を見回したヒロトは、力強くボールを蹴り出した。



「緑川!」

「!」



パスの相手はリュウジだ。まだ不安そうだけれど、ヒロトは笑って頷いた。そうだ。リュウジのサッカーを信じてないのはリュウジ自身だけ。

治の指示で霧隠と幽谷が迫る。顔を上げて前を見据えたリュウジの表情は、さっきまでと違って、清々しく感じた。

加速したリュウジが光に包まれる。チカリと一際強く輝いた次の瞬間、リュウジは二人を抜き去っていた。新必殺技だ!

抜いた直後にかけられたスライディングで、攻撃にこそ繋がらなかったけど、間違いなくリュウジは自分のサッカーを信じて進化したんだ。

必殺技は目金によってライトニングアクセルと名付けられた。うん、ピッタリ!



「リュウジ!」

「美波!俺……!」

「ねえリュウジ、あの技もやってみようよ」

「え、あれを?でもあれはまだ……」

「大丈夫!さっきだって出来たんだから、特訓の成果を見せてやろう!」

「……そうだな。次、頼んでいい?」

「もちろん!見逃さないでね!」




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