神喰物語

□【03】 過去編
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 ザイゴートの外骨格は若干弾力があり、踏み台にするにはちょうどよかった。
ブラストに炎L×3の強烈な爆発を与えられる弾丸を装填する。

 これで、少しは戦況がましになるはず……。
ルーシャはふと、ソーマやリンドウのいる融合炉の向こう半面へと視線をやってみた。


 「っ!!」


 ぱちりとソーマと目が合う。
無意識に頬が紅潮する。それと同時に、ソーマの灰青の瞳がふるっと揺らいだ。
 一瞬、胸が壊れそうなほどソーマが心配になり励ますかのように微笑んで目を細めた。


 くるりと、視線を荒神に戻す。
瞼の裏側にソーマの瞳がくっきりと焼きついているようで、荒神を捕らえることが難しい。
 自分とツバキさんの誘導で直径150メートルの円形枠のなかに荒神が缶詰のようにひしめいている。

 下手に動こうとすれば地面がひっくり返ることを知っているかのようだ。
荒神だって馬鹿ばかりじゃない。悪知恵の働くのもいるしサリエルやヴァジュラなんかは
ぞっとするほど巧妙な作戦に打って出たというケースもある。


 標準をあわせて引き金に手を添える。
空中で討伐してゆるゆると落ちていくザイゴートの群れをとんとんとリズミカルに駆け上がる。

 最後に、一番高いところで浮遊している弱りきったザイゴートの上に飛び乗る。
もはや抵抗する力もないザイゴートは人一人分の重さが増して苦しそうに咆哮を漏らす。


 背後からサリエルの気配がする。
警告するかのようなツバキさんの叫び声が聞こえ、ルーシャは荒神たちのど真ん中に爆撃弾をぶちこんだ。



     ドドドドドドドッ

     グオォゥゥ………



 大太鼓を叩きまくるかのような激しい爆発音に、荒神たちの最期の雄たけびが木霊する。
地面が2.5メートルほどえぐれ、コンゴウよりも大きな岩がぼこぼこと浮き上がり、沈んでいく。
ひっくり返った大地に押しつぶされた荒神たちの上から更に同じ弾丸をもう一発落とす。


 荒神たちの声が止んだころ、ルーシャはようやく地面へと足が付いた。
ツバキのホーミング弾が先ほどルーシャの背後を取ろうとしていたサリエルを付け回し、爆破させた。




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