終焉の鐘
□願い
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大きな砂海を、航海する船。
その船の甲板で一人の少女が外を眺めていた。
もうどこも暗い。何にも見えない。
「おい、モルテ。ついたぜ、例の町」
「例の町?」
「忘れたのか? 食糧とか調達する町だよ」
すっかり忘れていた。
黄金の獅子のリーダーであるカルナと、その副リーダーでありモルテの幼馴染であるアガンと、そのほか仲間ぞろぞろと。
この町で今日は過ごそうってことになっていたんだ。
ついたのは夜。真っ暗な中、仲間は船を動かないように太い紐で巻きつける。
「じゃあこれでいいな。行くぞ」
カルナ先頭で、宿に向かう。
夜のため外に出てる人は少なかった。いるのは商人だけだ。
いかにも宿という感じの建物に入り、手続きをすませるとそれぞれの部屋に入っていった。
モルテは一人、部屋の窓から外を見ていた。
蒼の都。
どこまでも蒼い町。
でも・・・・
「撲滅・・・するしかないわよ」
どこに行っても人間は奴隷としか見なされない。
獣人という存在のせいで。
黄金の獅子はそんな世界に反対するための組織だ。
でも、
そんなんじゃ、物足りない。
やっていることが物足りない。
何もはいていない、素足で外に出る。
ひんやりと冷たい地面を素足で歩く。
しばらく歩いていたら、さっき船をとめた場所まで来ていた。