終焉の鐘

□手料理
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「お待ちどうさまあ!」

 笑顔で出来立ての料理を食堂に運ぶキリエ。どんどんと料理が食堂に運び込まれる様を見て、メンバーは驚き、そして喜んだ。

ここはシーゲイル号という船の中。
いつもは宿屋に泊るのだが、今日は珍しく船の中だ。

というのも、これから劫初の滝に行くのに、一日以上かかるからだ。

春の大陸から行っても、キャラバンから行っても同じ距離にある劫初の滝。

これから来る戦いのためにも今日は休んでおく必要がある。

というわけで見習いの料理人であるキリエがみんなに料理をふるまってくれるのだ。

「おお!!」

みんな、一斉に料理にありつく。
「おお、これは・・・・」

一口食べただけなのに、みんなその味にやみつき。あっという間になくなった。

「おいしかった〜。また作ってよね、キリエ」
「う、うん・・・よかった・・・」

そして皿を重ねて、洗いに行くキリエ。

モルテは椅子に座って幸せそうな顔をしている。

「・・・・普通、逆だよな?」
「・・・普通、はな」

一応モルテとキリエは公認カップルだ。
なのに・・・・

「普通はモルテがキリエに料理つくるんじゃないのか?」

「へ?」

ナジャの言葉に振り返るモルテ。

「深い意味はないんだが・・・」

「普通は女が、男に料理をふるまうよなって話」

「・・・え?普通なの?ねえ、トッピー」

床でグローブの手入れをしていたトッピーにふる。

「?何の話だ?」

「普通はモルテがキリエに料理ふるまったり、片付けをしてあげたりするって話」

「・・・ああ。いつも帰ると、マッフィーが愛妻料理を作ってくれる。それが一番の楽しみだクマ」

「愛妻料理?」

「いとしい人が作ってくれたものは、明日を生きる糧となる。・・・・俺が今まで生きてこられたのも、そのおかげなのかもな・・・」

「明日を生きる糧・・・・」

「あれ?ねえ、みんな、何話してるの?」

台所から戻ってきたキリエが聞いた。

「リ・アはいつもヤマダにつくってもらってる」
「げ、あのネコ師、料理作れるのか!?」
「うん。いつも豪華」
「すげー・・・」

リ・アの話を聞いているのか聞いていないのか、モルテはずっと一点を見ていた。

そして、バッと振り返ると、

「待ってて、キリエ!!」

と叫び、食堂から出て行った。

「な、何を・・・・?」
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