嘘吐き

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「あああああ
どうしようどしよ!」

貴志と同棲して…
いや、付き合って3年

今日はバレンタインデー

…泣きそうだ

ただでさえ
貴志はモテる…

泣きたくなるぜ
こんちくしょう

「ふーはー」

かるーく深呼吸

チョコは作ったんだよね

作った…んだけど…

どうしよ
いつ渡そうか





「名無し様」

「はいいっ」




あ、声が裏返っちゃったぜ

えへへ

「帰ろうか」

出た
爽やかスマイル。

そして何気に手を
繋ぐ。

貴志ぃぃいいぃ

「たか、た、」

「たかた?
ジャパニートたかた?」

じゃーぱにーと
じゃーぱにーと
夢のじゃぱにーと
たかた〜

じゃぱね○と?
知りません。


「ああ、違う違う」


よし
いまだ
いまわたすんだ

「たか、たかし」

よっしいえたぁあ

「なに?」

ふんわりと笑う彼
なんで君は!

もう!

「あの、
今日さ、チョコ…とか
もらってないかなあ?」

若干笑顔が引きつった
やばいやばい

「え?
うんもらったよ?」

やっぱりかこんちくしょおおお


「でも」


そういって私が
片手にぎゅっと
持っていたチョコを
取る

あ、なんで!?



















「全部返したよ

おれが貰いたかったのは」























え、なにごと
視界いっぱいに
貴志

幸せだ!


……


え?









ちゅ、と軽くリップ音を
たてながら離れた唇








「名無し様のチョコだから」





















そうやっていつも君は!

(私はもう十分だよ!)

(おれはまだ足りないんだけどな…)

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