原作沿い2

□80
1ページ/3ページ

「嘘だ…嘘だ…嘘、だ…!」

カタカタと震える手。
私はゆっくりと死体の顔に触れる。

「嫌…嫌ぁ…」

変わり果ててしまってはいるけれど、間違えたりしない。
出会って少ししか経ってないけど、忘れるはずがない。

「京…!」


【友の死】


目の前に今日の死体がある。
私の目からボロボロと涙が溢れだす。

「こいつ…」
「もしかして…」

稲森さんと北条さんの表情が変わる。

「京っ…京!京ってば!!ねぇっ!!」

あんなに優しくしてくれた京が、死んでしまった。

「嫌っ…嫌ああぁああぁっ!!」
「落ち着けぎょぎょっ!!」
「アイツにバレちまうぞ!」

消えているのに大声を出したら終わりだ。
そんな事、分かっているのに抑えられない。
目の前の光景を信じる事ができなくて…信じたくなくて。

「やだ、やだ…やだやだやだぁっ!!」

こんな別れなんて嫌だ。
まだ、まだこれから色々話をしたかった。
もっと…もっと京の事を知りたかった。
それなのに…!

「うああぁあああっ!!」

強くなったと思ってた。
私、強くなれたって、思ってた。
だけど、違った…私は今の状況に安心しすぎてたんだ。
逆に、弱くなってしまっていたんだ。
人の死で、こんなに動揺してしまうなんて。
泣き叫んでしまうなんて。

「あっ!」

京に抱きついた時に、コントローラーが落ちた。
そのせいで私の不可視効果が消える。
直後、目の前に大量の女の人…ぬらりひょんの足にあたる部分が飛び込んできた。

「危ないっ!!」

当たる直前、北条さんも稲森さんも西君も反応できなかった。
そんな中、私の体は…誰かに突き飛ばされた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ