原作沿い2

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「ぎょんぎょん…。」
「私、頑張りますね。」


【ミッション再開】


氷川さんがフッと笑う。
そして、ゆっくりと顔を近づけてきた。

「サンキュ、ぎょんぎょん。」

片手で私の頬に触れ、額と額を合わせる。
そして、今さっきよりも優しい顔で氷川さんが笑ってくれた。
なんというか…まるで…この笑顔は私だけに、というかのように。

「おい離れろ!」
「調子に乗るなよ。」

稲森さんと北条さんがXガンを構える。
氷川さんはそれを見ると、不敵な笑みを作った。

「ふん、お前らカルシウムが足りてないんじゃないか?」
「あぁ?んだと?」
「すぐにキレすぎだって言ってんだよ。これから先、そういうのは命取りだぞ。」
「キレてるのはいつも稲森だけだ。」
「おいこらホモ!!」
「ホモじゃない。」

…確かにいつも怒鳴ってるのは稲森さんだけかもしれない。
西君は怒鳴ってる、キレてるっていうか…アレが普通だし。
いやでも、それを言ったら稲森さんも…

「ぎょんぎょん。」
「あ、はい。」

色々と考えていたら氷川さんに声をかけられて中断させられた。

「俺はまだ戦えるから、そこら辺にいる奴を潰してくる。」
「だ、大丈夫ですか?」
「何だ、一緒に来てくれんのか?」
「えっ」

ここで頷いたら、多分稲森さんが怒るだろうし…。
西君だって怒っちゃうよね…。
でも、こんな手の氷川さんを一人には…

「…ふっ。」
「へ?」

氷川さんの手が私の髪の毛を撫でる。

「冗談だ。」
「冗談…?」
「指が無くなったとはいえ、アイツらよりはまだ俺のが強いだろ。」
「…。」
「それに、全滅させるなら分かれた方が良い。だからぎょんぎょん…」
「は、はい。」
「お前はアイツらから離れるな。アイツらに守ってもらいながら、サポートしてやれ。」

氷川さんは…決して悪い人ではない。
それはもう、ずっと前から知っていた。

「まぁ、それでもやっぱりアイツらに任せるのは心配だけどな。」

お願いです、氷川さん。

「じゃあ、また後でな。」
「……はい。」

お願いだから、死なないでくださいね。
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