原作沿い2

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「アンタもこれ、やりたいん?」
「えっ、そ、そんな事は…。」

男の子が私の手を取り、腕にゆっくりと注射針を近づけてきた。


【花紀京】


「おいっ!」

稲葉さんがそれに気付いて慌てて駆け寄ってきてくれているのが見える。
だけど、絶対に間に合わない。
私はギュッと目を瞑った。

「ぷっ!」
「え…?」
「あっはははは!冗談やって!ビクビク震えておもろいなぁ!!」

いきなり笑われ、ゆっくりと目を開ける。
そこには爆笑している男の子。
駆けつけてくれた稲葉さんも目を見開いている。
でも、私の体を稲葉さんはちゃんと引き寄せてくれていた。
ホッとする。

「ほんまにやりたくなったらいつでも言いや。俺が打ったる。」
「おまっ…」
「な、ないです!やりたくなる事ないですからっ!」
「あっはははは!」

こ、この人なんか怖い…。

「花紀京。」
「え…?」
「俺の名前。花紀京。」

どうやらこの人は花紀さんと言うらしい。

「あ、えっと…ぎょぎょっ ぎょんぎょんです…。」
「ぎょんぎょんね。」
「よろしくお願いします。花紀さん。」
「京。」
「え?」
「京でええよ。っちゅーか、京って呼ばんかったら返事したらん。」
「えええ…。」

子供みたい…。

「おいぎょぎょっ。こんな奴、相手にすんなって。」
「京…さん。」
「おい…。」
「…。」
「京…君。」
「…。」
「京…ちゃん。」
「…。」
「……京。」
「何?」

子供だ!!
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