原作沿い2
□61
1ページ/3ページ
私は今日、稲森さんと二人でレストランに来ていた。
稲森さんはカレー、私はカルボナーラ。
「美味しいですね」なんて言いながら、食べていた。
【本音】
「稲森さん、良いんですか?」
「んー?何が?」
今日は稲森さんのバイトが休み。
どのバイトも休みで、滅多にない一日休みの日だった。
そんな貴重なお休みを私と過ごすなんて…。
「家でゆっくりしたいとか…あったんじゃ…?」
「あー、別にー?」
稲森さんがカレーを頬張る。
美味しそうに食べるなぁ。
そういえば、泊まってくれた時も美味しそうに食べてくれてたな。
あれは本当に嬉しかった。
「一人でいるより、ぎょぎょっといる方が楽しいし。」
「そうですか?」
「うん。っていうか俺がぎょぎょっといたいの。」
なんというか、面白い人。
私と一緒にいて楽しいなんて。
私、面白い事何も言えないんだけどなぁ。
「俺さ…」
「?」
「今では結構感謝してんだよね。」
カランッと音がしたと視線を向ければ、カレーを食べ終わった稲森さんがスプーンを置いた音だった。
稲森さんは口を拭いて外をジッと見つめる。
真面目な表情だから、何も言わずに次の言葉を待つ。
「あの部屋に呼ばれて…今は良かったって思ってる。」
まさか稲森さんからそんな言葉が出るとは思わなかった。