原作沿い

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西君と恋人同士になってから、世界が明るく見えるようになった気がする。
私と西君は今、二人で手を繋いで歩いている。
後ろには

「おいこら!何手ぇ繋いでんだよ!」
「あんた、勝つ事ができないからって怒鳴ってんじゃねぇよ。うるせぇな。」
「黙れホモ!!」
「ホモじゃねぇし。」

北条さんと稲森さんもいるのだけれど。
最近はこの四人で行動を共にするようになった。


【世界が明るく見える】


「ぎょんさんおはよう!」
「おはようぎょんさん!」

最近の朝はとても賑やか。
私以外の三人目当てで女の子達が集まってくるから。
気まずくて逃げようとするけど、

「…。」

西君は私の手を絶対に放さない。
そして、他の女の子には目をくれずにただ歩き続ける。
それが嬉しくて、結局は私も手を放せないでいる。

「いつ来ても思うけど、ぎょんの学校の女子はレベル高いよなー。」
「はっ。じゃあ、この中から彼女でも見つけたらどうだ?ライバルが減って助かる。」
「うっせーよ。恋愛対象に見れるのはぎょんだけだっつの。」

後ろの会話を聞こえないふりをする。
だって、恥ずかしいんだもん。
あの日から、二人はすごく想いを伝えてくるようになった。
帰りだって、いつも待ってくれてる。
西君と付き合う事になりましたと伝えても…

―俺の方が良いってすぐに分かる。―

と北条さんも

―いや、俺に振り向かせてみせる!―

稲森さんも言って、諦めてはくれなかった。
人間には何度かモテ期があると聞いたけれど…まさか、今なのだろうか。
っていうか、私にもモテ期があったんだなぁ…。
そう思いながら西君の手を握りしめる。

「なンだ?」
「あ、ううん…。」
「…。」

ギュウッと私の手を握る力が強くなる。
もしかして、気を遣ってくれてるのかなぁ…。

「西君…ありがとう。」
「何が。」
「ううん、何でもない。」
「あッそ。」

私は西君の手の温もりを感じながら歩き続けた。
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