原作沿い

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西君に今日の晩御飯の材料を買うのを付き合ってもらってしまった。
だけど、それが嬉しくて胸がドキドキしてる。

「ぎょん。」
「ん?何?」
「その食材の多さ…何、お前自分でご飯でも作ッてんの?」

不思議そうに聞いてくる西君。

「うん、そうだよ。」

正直に答えたら、西君が目を見開いた。


【召し上がれ!】


「私、一人暮らしだから。」
「中学二年生で…?」
「うん。私、元々田舎に住んでたんだけどね…」

私の住んでいた場所は、緑がいっぱいで素敵な所。
私はお父さん、お母さんと一緒に東京へ出てきた。
でも、東京に緑は全然無い。
畑を耕せそうな所もない。
それを知ったお母さんとお父さんは、実家へ戻りたいと言い出してしまった。
だけど、その時私は既に中学校へ通いだしていて…転校するのも嫌だった私は

―じゃあ、私、一人で東京に住む。―

と、心配する二人を見送り、有言実行…一人で東京に暮らしだした。
食費や学費は親が全部送ってくれるから有り難い。
高校になったらちゃんとバイトするから…もう少しお願いします。
っていうか、なんか二人の知らない所で死んでごめんなさい。

「どんな親だよ…。」
「あはは、面白いでしょ。」
「お前も十分面白いけどな。」
「えー?」

買いものも終わってしまったし…日も暮れてきた。
あぁ、もう西君との時間も終わってしまうのか…。
そう思ったら、すごく寂しかった。
それが伝わったのか、それとも西君も同じ事を思ってくれていたのか…

「お前、もしかして味音痴だッたりすんの?」
「えっ?何それ酷い。」
「俺がお前の料理、味見してやるよ。」

なんて言い出した。
勿論、喜んでOKなんですけどね。
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