中編用

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あの部屋から帰って、次の日普通に学校。
なんだか死んだ事も、あの部屋の事も嘘みたい。
そう思っていたら…

「よぉ。」

やっぱりあれは現実だったのだと思い知らされた。


【それでも貴方が好きだなんて】


「あっ…あっ…?」

放課後、帰ろうとする私を呼びとめる声。
誰かと思って顔をあげれば、そこには

「ほ、北条さ…!」

あの綺麗な…北条さんがいた。
下校中の女子も、部活中の女子も皆北条さんに見惚れている。
キャーキャーと黄色い声をあげる子達も多いけれど。

「その制服どっかで見たと思ってたんだ。」
「あ…えと…」
「そうか、女子中か。」
「は、はい…。」

北条さんは別に女嫌いというわけではなさそうだ。
女子を見ても嫌そうな顔をしない。
そ、それならきっと私も頑張れば…とか思ったけど…無理だなぁ。
可愛い子なんてたくさんいるし。

「ん。」
「えっ?」

北条さんが私に渡してきたのは、ハンカチだった。
あ、そういえば…洗って返すって…。

「次に部屋で会った時でも良かったのに…。」
「それも考えたけど、いつ呼ばれるか分からなかったし。」
「そ、そうですね…。」

これ、必死に洗ってくれたのかな。
綺麗になってる…。

「そんじゃ、それ渡したから。」
「あっ、あのっ…」
「ん?」
「い…一緒に帰りませんか…?」
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