中編用

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「何だこりゃ?」

音楽が流れているのは、どうやら部屋にある黒い球体のようだった。
真っ黒で近づくのもちょっと怖いけど…

「てめえ達の…」

文字が書いているみたいだから、見なきゃ駄目だよね。


【私専用スーツ】


「…あ。」
「ん?」

球体に近づこうとした時、あの綺麗な人が視界に映った。
球体から離れてるけど、見ないのかな…?

「あの…」
「何だよ。」
「そ、その…」
「だから何。」

ど、どうしよう…。
もっと近くで見ないんですかって聞きたいのに…。
いざ声をかけたら恥ずかしくて何も言えなくなっちゃった…。

「わけ分かんね…。」

うぅ…すみません…。
なんか、怒らせちゃったみたい…。
そんなつもりじゃなかったのに…。

ガシャッ

「ひっ!?」
「!」

いきなり大きな音がして、思わず声をあげてしまった。
それをあの人に目の前で驚いた顔を見られながら聞かれてしまい、私はバッと顔をそらす。
うぅ…も、もう嫌…。

「えっと…ぎょーんさん?」
「えっ?」

名前を呼ばれて振り返ると、そこには加藤さん。
加藤さんの手にはケースが持たれていた。

「これ、君用のケースだ。」

そう言って渡されたケースには確かに私の苗字が書いてあった。
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