原作沿い3

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「それにしても西は酷い奴だな。」

帰り道、稲森さんが西君をおちゃらけた感じに睨みつける。
西君は意味が分からないといったような表情を返した。

「誰が誰を助けようが、死のうが生きようがどうでも良いなんて酷いだろ?」

あぁ…確かにそんな事言ってたな…。

「しかも俺達は真っ先に死ぬんだよな?」

北条さんがクスクス笑いながら言えば、西君の眉間に皺が寄った。

「ンだよ、お前ら。めンどくせぇな。」
「でも俺らは傷ついたぞー?北条もだろ?」
「あぁ、そうだな。」
「おい、思ッてねぇだろ。」
「そんな事ないって。」

稲森さんが西君の背中に覆い被さる。
そして、それに続いて北条さんも稲森さんに覆い被さった。
なんとも不思議で面白い構図だ。

「重いッつの!」
「俺は挟まれて苦しい。」
「ははは!」

あぁ、あんなに怖いミッション後だからか…とても安心する。
この三人とまた一緒にいる事ができて…本当に嬉しい。
私は西君に前から抱きつく。

「!?」
「私も寂しかったよ。」
「おまッ…何二人にノッてンだよ!」

西君の後ろにいる稲森さんと北条さんと目を合わせて笑う。
少し黙りこんだ西君は私から視線をそらし、

「別に…お前らの事は含めてなかッたし…。」

と小さな声で言った。
それを聞き逃さなかった私達。

「西ぃ!この照れ屋め!」
「分かってるよ、んな事。」
「からかってごめんね、西君。」
「ちッ…」

私達は別れるその時まで楽しく話した。
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