中編用

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「んだよコレッ、玄関開かねーじゃん。」

集まっている人の中の数人が部屋から出れないか調べ始める。
私も調べている…。
調べながら、チラチラとあの人の事を見てしまう。

「東京タワー…」

ボソッと呟くその人。
あぁ、顔はとても綺麗で格好良いけど、声もとても素敵だな。
こんなに格好良い人を、私は今まで一度も見た事がない。

「おいどーなってんだコレッ!!誰か教えろ!!」

不良っぽい人達がいきなり怒鳴りだし、思わずビクッと震えてしまった。
こ、怖い…。

「どこだよここっ!!誰か説明しろっ、てめえら!」

怯える私なんて見えてないのだろう。
ずっと怒鳴り続けている。
だけど、他の人達はただ無表情で何も言わずにその人を見つめていた。
こ、怖くないのかな…。

「イライラすんなーコイツら。」
「何か言え!!コラ!!」
「ゾクなめてんじゃねーぞ。」

ゾ、ゾク!?
今ゾクって言った…!?
そ、そんなの益々怖いよ…。

「おいそこの背のデケーの。」
「俺が聞きてーっつの。」
「とぼけてんじゃねーだろな。」

あの綺麗な人に声をかけるゾクAさん…。
何事もなく終わったけど、と、とりあえず…あの人が殴られたりしなくて良かった。

「…ん?」

ゾクの人達が色々している中、加藤さんが立ち上がる。
そして、

「ここにいる全員が生きて家に帰るために、できるだけ情報をみんなに伝えたい。」

と口を開いた。
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