木吉鉄平と私

□こんなことあるんですか
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大学生になって早2年経つ。大学の環境や雰囲気、講義の取り方などに慣れてきていろいろと緩む時期でもある。ただ単位は落としていないことが幸いでもある。
特に入りたいサークルもないし、週6でバイトしている。大学までの通学に二時間もかかるが、わざと同級生がいない此処を選んだ。

いつも通り講義を終えて友達と帰り、電車に乗って乗り換えの駅で別れる。乗り換えて家の最寄りまで帰れる電車をすぐ一駅で降りるとバイト先がある。そしてバイトが終われば地元の最終電車の時間となる、そんな日々をおくっている。
だが今日は少し違う。バイトが長引いてしまい地元の最終電車の時間なんかとっくに過ぎていて、こういう時は友達に助けを求めて車を出して貰うか、ここが地元の友達の家に泊めてもらうか、最終手段リッチにタクシーを使うの3択だ。
最近は特に終電逃しがちで、最悪の気持ちでいて、今日はどうしようかと考えてみた。今週で友達にはもう3回来てもらっているし、昨日泊めてもらってるし。残りはタクシーだから、仕方ないそうしようと歩き出した。


今日は金曜日で酔っ払いがやけに多い。サラリーマンにとっちゃ花の金曜日だからなーと酔っ払いを横目に歩いていた。
しかし目の前から酔っ払いサラリーマン二人が私を立ち止まらせる。絡まれた。

「一人なのぉ?女性一人で危ないから送ってあげるよ〜」
「お前の方が危ないだろーー怖がらせんなよ。ねえ、もしよかったら飲まない?」

疲れてるしとっとと帰りたい一心ですみませんお酒飲めないんです。じゃ、と避けて足早にその場を去ろうとするものの、腕を捕まれて阻止される。

「飲めなくても大丈夫!だから、ね」
「それと帰りもちゃんと送ってあげるし。ちょっとくらいいいじゃねえか」
「いえ、本当にそういうの困ります。やめてください」

面倒なことになったわーどうしよう……そう考えていた一瞬の内に彼は来た。

「あの、うちの連れに用ですか?」
「あ゛?知り合い?」

私に聞かれても。声のする方へ顔を向けると、パッと見てとても若いわけでなく、30歳前後くらいか。初めましてですなんて言えないから、あ、彼氏ですう…と手っ取り早く口会わせする。
なんだよ期待させんなよとぶつぶつと文句垂れながら二人は呆気なく去ったのだ。
良かったあああああと安心したが、それは一瞬のことで。

「えと、大丈夫?嘘付かせちゃってすみません」

「あ、大丈夫です。助けて頂いてありがとうございました。あの、好きです」

は?と唖然とした表情をした彼が印象的であった。まだ名前も知らない、いくつで、何処に住んでて……会って3分弱。でもそこはしっかりと指輪がついていないことも確認済みだ。結婚はしていない、それ以外はまだ何も知らない彼に私は一目惚れをしました。









「あ、いや…嬉しいけどおっさんだぞ。」
「連絡交換しませんか。」
「えっと…。」
「連絡先だけでいいんで!」
「君、帰る所だろ?電車ないしとりあえずタクシー捕まえて帰ろうな?」
「名無しさんです。連絡先教えていただいたら帰ります。」
「わかったから名無しさんちゃん帰ろうな?」

ヨッッッッッシャァアアアアアアア

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