過去拍手

□人間×吸血鬼
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「ねぇ、なな。俺お腹空いたんだけど」
ベッドに寝転がりながら、すらりとした白く綺麗な足を惜し気もなく晒し、琉維(るい)は言った。
着ているのはカッターシャツ一枚だけ。それも羽織っているだけなので、ないのと同じだ。
隣に座っていた男が眉をぴくりと上げる。
「はぁ?てめぇ、さっき食っただろうが!」
茄薙(ななぎ)はまだ食う気か!と憤慨する。
「全然足りない。てか、ななの相手したからお腹空いたんだろ。責任とれよな」
愛らしい容姿とは裏腹に、口が少々悪いのが琉維だ。
「ったく。ほら」
茄薙はカッターナイフを取り出すと、躊躇うことなく腕を切った。滴る赤い血に、琉維の瞳がキラリと光る。
琉維も躊躇うことなく彼の血の滴る腕にかぶりついた。
「っつ……。ちょっとは加減しろよ」
「ん。それはお互い様だろ。立てないからお風呂連れてって」
「ざっけんな!この血でチャラだ」
「えぇ?」
頬を膨らませる琉維に、茄薙はいらっとした顔になる。
しかし、琉維の白い肌が視界にちらつき、茄薙は溜め息を吐く。
そして、するりと足を撫でた。
「あ……やらしく触んな」
「風呂で中出しさせてくれたら良いぜ」
足からおしりに手が移り、琉維は身を震わせる。
「駄目。これ以上中に出したら妊娠する」
ぺしりと茄薙の手を叩き、体を起こす。
「良いじゃん。面倒見るぜ?」
何せ金持ちだし?と笑う。
「なぁ。俺のものになれよ」
「無理。言っただろ。俺には婚約者がいるって」
「あれだろ?吸血鬼のプリンスだっけ?」
「そ。そいつと結婚しなくちゃいけないから、お前とは無理」
琉維は、血を糧にする吸血鬼の末裔だ。
中でも琉維は純血の一族。
昔は、純粋な吸血鬼しかいなかった。現在は人との間に子を成しているため、純粋な血を持つものは減った。
残っているのは琉維の一族と、彼らを束ねる本家に、その分家の三つの一族のみだ。
ご三家と呼ばれ、この三家は他の吸血鬼に恐れられていた。
吸血鬼に、女と言うものはない。ただ、子を産めるものとそうでないものとに別れている。
琉維は子を産めるものだった。
本家には跡継ぎはいるものの、子を産めなかった。分家のものにも、子供を産めるものはおらず、琉維に白羽の矢がたった。
本家は吸血鬼達の中で最強の力を持っている。特に琉維の婚約者である次期当主は強い。吸血鬼の中の吸血鬼。
だから、断れなかった。
「この話はおしまい!ねぇ、中出しは駄目だけどそれ以外は良いから連れてって」
起き上がれたものの、歩くのは無理だった。可愛くお願いすれば、茄薙は仕方なく琉維を抱き上げた。
風呂場につくと、手早くカッターシャツを茄薙に脱がされ、浴室にはいる。
「そのまま立ってろよ」
琉維は壁に背を預け、足の間に茄薙の足をいれら体を支えられる。
「ん、あ……や、なな!」
直に琉維自身を擦られ、びくんっと体を震わせる。
「我慢しろ」
シャワーの温度を調節しながら、茄薙はくいっと足を押し付ける。
「や、あぁ!ん、あぅ…ん……」
強くされたものだから、琉維は声を上げる。なおも力を入れて押してくる足を、琉維は押し返そうとする。
「ぅ、ん……あ、あ……」
そんな抵抗が形だけだと言うことは、茄薙はよく知っている。現に押し返す手の力は微々たるもの。吸血鬼である琉維が本気を出せば、人の力では歯が立たない。
「よし。湯加減どうだ?熱くない?」
体にゆっくり当たるシャワーに、とろんとした顔で琉維は頷く。
「ん。気持ちいい」
「それはどっちの気持ちいいだ?」
「両方。ね、キスして」
茄薙の首に腕をからめ、キスをねだる。
茄薙はそれに応え、深い口づけを落とす。舌が絡み合い、互いの唾液が行き来する。
こくん、とそれを飲み込めば、茄薙はクスッと笑う。
「可愛いな、琉維は」
「当然。俺は吸血鬼の姫だからね」
見た目は人と変わらないが、妖艶に笑う姿は、やはり人にはあらざるものにしか見えない。
「琉維、入れるから俺にもたれろ」
「わっ」
ぐいっと引き寄せられ、茄薙の胸にもたれる形になる。
「さっきやったばかりだからやらかいな」
秘部に指を差し込めば、すんなり中に入った。
「あ、あ……だめ…」
身を震わせる琉維に、茄薙は構うことなく秘部に己をあてがう。
「奥には出さないって。ほら、こっちに集中しろ」
一気に中に入れられ、琉維は体をのけぞらせた。
壁に再びもたれる格好になり、琉維は茄薙にすべてを見せる体勢になる。
茄薙は晒されている琉維自身を手に包むと、柔らかく上下に擦る。
「ん、あ……はぁ……や、ぁ…。なな、ななぁ……んぅ…」
「くっ……。そんなに締め付けたら奥に出ちまうぜ?」
「あ、だって……ん……や、だめぇ……ん…ふ……ぁ!」
駄目なのに。婚約者以外との間に子供が出来たとなれば、きっと茄薙も子供も殺される。今は自由にしているが、時期が来れば自由もなくなる。
激しくなる茄薙に、琉維はうっすらと涙を浮かべる。
「ん、ん……ななぁ……ひぁ!あ、ぅ…ん!ふぁ、ぁ、あ!も、出ちゃ……!」
「ん。俺もいく。琉維、一緒にいこう?」
琉維自身を擦っていた手を、同時にいけるように早さを調節する。
ゆっくりだった手が、徐々に早くなる。
「うん……ぁ…う……んぁ!あ、あ、ふ…ん、も……やぁ!ん、あぁぁ!」
びくびくと体を痙攣させ、琉維は茄薙の手の中で果てた。
茄薙も琉維の中で欲望を吐き出した。
「琉維。こっちに体倒すぞ」
「ん。あ……」
少し触れただけで、体が震える。
「いい感度。中掻き出すからな」
「ふ……ぁ…。手つき……が…やらし!」
明らかに感じるところを指が当たり、びくんっと体をしならせる。
「はいはい。ほら、終わった。シャワーかけるぞ」
「ん」
お湯をかけられ気持ちよくなったあと、2ラウンド目に入り、お風呂からでた。
「ねえ、なな………」
カッターシャツだけを羽織ってベッドに寝かされた琉維は、茄薙の手を握る。その手が微かに震えていることに気付き、茄薙は苦笑を浮かべた。
「俺、本当は………ん」
最後まで言う前に、琉維の唇を己の口で塞いだ。
「大丈夫だ」
何が大丈夫なのかは聞かなかった。ただ、なぜか茄薙が言うと、何もかも大丈夫な気になる。
「少し寝ろ」
「うん……」
琉維は淡く微笑んだ。
「なな、好き………」
そしてまぶたを閉じ、そのまま眠りについた。
「俺も好き」
そう言って茄薙は優しく笑った。
今はまだ、このままでいよう。
大丈夫、必ずこの血の姫を手に入れる。どんなことをしてでも。




終り。

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