過去拍手

□元魔王×元勇者V
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千年前戦った勇者と魔王が転生して高校の同級生になった話V






「そういやもうすぐ試験だな」


そう、元魔王の蕪木真生が呟く。


「そうだな。お前勉強してるの?」


そう返すのは元勇者の円木悠士。


「授業だけしかしてねぇ。お前は?」


「俺も」


前世ではかなりのハイスペックだった二人は、転生後も一般人よりは優秀に生まれていた。


「じゃあ、勉強しなくても大丈夫だよな?」


何の確認なのか、念を押す真生に悠士は首を傾げる。


「高一のテストなんて、そもそも難しいのは出ないだろ?」


教師の話では、テストの内容は基本ばかりで、中学のおさらいのようなものだと言う。


「んじゃあ今日は泊まりに来れるな」


今日は待ちに待った金曜日だ。


テストは来週のため、土日に勉強すると言われれば諦めるつもりでいた。


「ん。行く」


即答する悠士に、真生の顔が緩みきっているのは言うまでもなく。


「夜ご飯何がいい?」


真生の問いに、悠士は「んぅ〜」と唸りながら考える。


「真生が作るものは何でも美味しいからな。何か残ってる材料あるのか?」


「あー、ジャガイモとたまねぎはあったな」


「他は?」


「スーパーにある」


つまるところ買い物にいかなければないと言うことだ。


「んじゃあポテトサラダとハンバーグ」


結局買わないとダメなら好きなものを注文する悠士に、真生は分かったとだけ返す。


「放課後は買い物デートだな」


楽しそうに笑う真生に、悠士もつられて微笑む。


二人の回りに花やらハートが飛んでいるのは、きっと目の錯覚だろう。


「おい。誰かあの二人に教えてやれよ。ここが教室の中だってことを」


「お前が言えよ」


「やだよ。蹴られるって」


そんなことを誰かが言ったが、その言葉に従って実行するものはまずいない。


ただ一人を除いては。


「こんのくそ真生!!悠士から今すぐ離れろおぉぉ!!!」


乱入してきたのは住良木颯真。


向かい合わせに座る二人の間に割って入ろうとしたが、それをすかさず止めに入る人物が二人。


「はいはい。颯真のクラスは隣だろ。勝手に入るなよ迷惑だから」


彼の首根っこを掴むのは枕木顕司。


「俺も悠士と同じクラスが良い〜〜〜!!」


「はいはい。無理に決まってるでしょ?君は僕たちと同じA組なんだから。もう次の授業始まるよ」


そう言ってクラスに戻るよう促すのは倉木美夜。


「颯真。あまりわがままが過ぎるとお仕置きするよ?」


爽やかイケメンスマイルを発動したのは久留木聡季。


そのとたん、颯真は顔を真っ赤にしてあわてふためく。


「っ!?あ、あー。俺用事思い出した!またな、悠士!行こう、顕司、美夜!」


嵐のごとくやって来て、嵐のごとく去っていく颯真に、1年C組は毎日賑やかだった。


「お仕置きって、聡季は颯真に何をしたんだ?」


「さぁな。ほどほどにとは言ってあるけど」


「ふぅん。ま、良いか。それよりさぁ〜」


再び二人の世界に入ってしまった悠士と真生を止められるものはこのクラスにはいなかった。




「おーい。そろそろ授業をはじめても良いか〜?」


そのせいで授業にやって来た教師が忘れられるのは日常茶飯事だった。


end





はい!元魔王と元勇者のお話第三弾をお送りしました。
いかがでしたでしょうか?
R18までいかなかったと書き終わってから気づきました(笑)
悠士と真生は出来が良いのでテスト勉強はしません。
一度見たもの聞いたもの教わったことは大概覚えてますし、要領よくこなします。
羨ましいくらいのハイスペック設定です(笑)
この話しのカプとしては真生×悠士、顕司×美夜もしくは顕司+美夜×颯真とかの3Pも面白そうだけど、聡季×颯真のお仕置き話もきっと楽しいはず。もちろんR18で!!←ここ重要
それでは拍手ありがとうございました!

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