桜花乱舞

□第弐拾伍話〜鬼語リ〜
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西本願寺の一室で蝋燭が風に吹かれて燃える。
それぞれの顔を映し出して話始めようとしていた。


土「…んで…西園寺…お前と斎藤は鬼の何だ」


腕を組みながら土方は問うた。
翡翠は腹を括って質問に答える。


翡翠「…私と兄上は…"飛龍翔"と呼ばれる鬼です」


淡々と鬼のことについて説明をし始めた。


古来より鬼は日の本で暮らしていた。
それは創世神話から存在していたと言われていた。
鬼は【神】と同様に村人から怖れられ崇められていた。
その分恩恵を彼らへと与えていた。



総「へぇ…凄いね…」



土「神か…それが数百年経っちまうと…」



左之「厄病神扱い」



各々に口を開けば千姫はむっとした顔をして彼らを睨みつけた。


千「当時の人々は…権力を手に入れると私達鬼を…厄病神扱いし始めました」



其れが得に顕著に表れたのが平安の頃だった。
旧き鬼達は…一族を守るため京の都で働いていた。
無論…帝直属の検非違使として。



翡翠「…飛龍翔は旧き鬼の中でも創世記神話に近い血を持つと聞いてます」



永「創世記神話って…素戔嗚とか天照とかか?



翡翠は頷く。そんな血が彼女の体の中に流れているのだ。
それは一種の呪いみたいなものだった。




総「呪いって…どういうこと?」



翡翠「始祖の血に近いからな…。人を鬼に変える事も不可能ではない…。」



千「特に飛龍翔で顕著なのが…女鬼は必ず"飛龍翔"を持つ子供が生まれてくるのよ」



左之「確実に血を残す為…か」



土「…成る程な」



土方さんは表情を険しくさせながら私を見る。
人として試衛館時代から一緒に過ごしていたのだ。
鬼と言われてしまえば信じられないといいたいのも無理は無い。



翡翠「…兄妹の場合…力が強いのは兄上の方です」



土「西園寺…質問していいか」



翡翠「はい…何でしょうか土方さん」



土「…お前も…風間と同じ姿になるのか。」



単刀直入に質問されたそれは…。
返答に困ってしまう者だった。



翡翠「…お見せしましょう」



翡翠は立ち上がった。
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