桜花乱舞

□第弐拾壱話〜誘惑〜
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千姫とであった数日後の話だ。
屯所内ではめっきり"三条大橋事件"につい手の話題で持ちきりだった。


翡翠「副長、失礼致します。」


「入れ」と一言声をかけられれば
障子をあけて中へと入る。
土方さんの部屋には私の他に…、総司と左之がいた。


彼は私の方を見るや否や細いため息をついた。



土「単刀直入に聞こう…西園寺、おめぇは…三条制札の件についてどう思う?」



紫色の瞳が静かに私を見据える。
ゆらゆらと揺れるそれは本心を問うているのに違いない。



翡翠「三条制札ですか…あれは…恐らく尊皇攘夷派がやったと見ますが…。」



総「やっぱり、翡翠もそう見るよね。」



左之「しかも二回目だからな…そりゃあ…俺達にも声かかるのは無理ねえけど…。
いくらなんでもやりすぎだろ…。」


土「んで…、本題なんだが…な。」



土方さんは机の上にある書類を私たちに見せた。
"新撰組"と書かれた文…。



翡翠「…まさか…これって…。」



総「え…近藤さん承認しちゃったわけじゃないですよね?」




左之「…"アイツら"を使っちまうのか?」



アイツら…とは即ち、羅刹隊のことだ。



土「いや、あいつらは確かによく働いてくれるが…。
死体の切り刻み方が異様すぎる。
いくら、新選組がやった、ということを隠すためでも…
適材適所…使う場所も考えねえとな。」




そしてまた深くため息をついた。
…羅刹隊を率いるのは山南さんだ



翡翠「……っ。」



総「翡翠…。」



総司はただ、悲しげに私の方を見ていた。
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