桜花乱舞
□第弐拾話〜出遭い〜
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慶応二年九月の折、まだまだ暑い日が続く。
翡翠と総司は大広間で皆と談笑をしながらひと時を過ごしていた。
翡翠「…総司、妙になんだか外が騒がしくないか?」
総「言われてみれば…そうだね。この声…新八さんと左之さん?」
すると、ドタドタドタ、と大きな何かが此方へと走ってくる音がした。
そして、皆がいる大広間の戸をバン!と勢いよく開ける。
新八「おい…みんな…!家茂公が……亡くなった…!」
その知らせを聞いてざわつき始める室内。
……上洛したときに…お守りした…方が…。
やはり、病には勝てなかった…のだろうか。
総「……上がいない戦争なんて…聞いたことないよ…ねぇ?左之さん。」
左之「ああ…どうなるん」だろうな…気が気でねぇよ…。本当。
永倉「…前回の長州討伐のときも…攻めきれないで…帰ってきちまったからな…。」
千鶴「でも…相手は長州一藩なんですから…」
千鶴はそういうが…そのような問題ではないのが事実だった。
ここ最近の隊内の空気は過去史上最悪と言ってもいいほど乱れている。
…それとこれとは関係ないかもしれないが
指揮をとる際、隊長達との連携がとれず前回のような長州討伐になってしまう恐れがあるからだ。
土「てめぇら…今はいいから…次の第二次長州討伐…。全力でやるぞ。」
副長がそういえば、空気はガラリと変わった。
ーーーしかし、この胸の中をざわつかせるものはなんなのか。
まだ、それはハッキリとしなかった。
ただ、一つ言えるのは…幕府という大樹が徐々に…軋みはじめる
瞬間がこの時なのかもしれないーーーー。