桜花乱舞
□第拾肆話〜黄金色の月〜
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【総司side】
千鶴ちゃんから「翡翠さんが山南さんと一緒に前川邸の方に行きました」と言われた。
…胸騒ぎはしていたけど…。
翡翠「総司っ…総司っ…総司ィッ!!!!!!」
前川邸から聞こえる彼女の声。
僕は急いでそこへと駆けつける。
そこに見えたものは…禍々しい赤色をした変若水があたりにこぼれてシミを作っていた。
総「山南さん?容赦、しませんよ。」
中央にいる山南さんそして…山南さんの刀で肩を貫かれている翡翠壁に貼り付けられてしまっている状態だった。
翡翠「そっ…じ…さ…なさん…を。」
総「…わかってるけど…気絶…させるしかないね。」
翡翠は苦しげに息を吐く。
痛みを逃がそうとしても…逃げられない痛み。
時折くっ…と言っては、右手で刀を抜こうとしているが
壁の方に刀が刺さっているためなかなか抜けられない。
山南さんは丸腰で僕へと襲い掛かってくる。
山南「グ…ケケケケッ」
狂ったように笑う山南さん。
本当に…狂ってしまったんだ…と心の底で同情してしまう。
これが追い詰められてしまった末路なのか。
総「山南さん…今楽にしてあげますから…ねっ!!!」
僕は構えていた刀を山南さんへと切っ先を向ける。
頬をかすめるとすぐにその傷は癒えてしまう。
ーーーーー鳩尾を狙うしか無い。
しかし、山南さんの方が早く、僕のお腹に蹴りを入れる。
ドゴッ…ズザザザッ…ダン!!!
蹴られて刀が弾き飛ばされてしまい僕は壁に体を打ち付けた。
しかも翡翠が隣にいて
翡翠「痛っ………はぁっ、はぁっ、はぁっ…。」
苦しげな顔で息をしている
総「山南さん…正気に戻ってください…よっ。」
グラリ、と立ち上がって刀を握る
山南さんは一瞬フラリ、と力を抜くと素早い動きで僕の方へと来る。
山南「………クケケケッ…。」
山南さんを気絶させるしかないよね。
僕は、刀を手に取り立ち上がって鞘を山南さんの鳩尾に突く。
ドサッ、
山南さんはその音とともに倒れて気を失った。
翡翠「はぁっ、はぁっ…はぁっ…苦っ…。」