桜花乱舞
□第拾弐話〜大きな代償〜
1ページ/4ページ
総「「翡翠ー起きてよ。朝食だよ?」
朝、目が覚めれば目の前に見える総司の顔。
…いつもなら私が起こしに行くのに…今日は妙に起きるのが早い気がする。
翡翠「ん…おはよ。総司…朝食か…待て…準備するから。」
総「なんか今日…大事な話があるんだってさ。」
ため息をつきながら柱に凭れ掛かる総司。
大事な話…?この間の禁門の変と何か関係しているのだろうか?
翡翠「…行くぞ。総司。」
私は、総司とともに広間へと向かった。
*
朝食終えて…皆それぞれ過ごしていた時。
土方さんが不意に口を開いた。
土「八木さんたちにも世話になったが、この屯所もそろそろ手狭になってきたか。」
翡翠「…此処では…色々とありましたから。」
永倉「確かに狭くなったよなぁ…隊士の数も増えてきたし。」
言われてみればそうだ。
京に来てからだいぶたって…新選組も発足して…
其処から力をつけて、私達は仕事をしている。
千鶴「隊士さんの数は……多分、まだまだ増えますよね。」
翡翠「そうだな…千鶴。今は平助が新隊士募集のために…江戸にいるからな。」
左之「増えることはいいことなんだがなぁ…。屯所の広さには限りもあるし。」
現状では小さな部屋を平隊士が雑魚寝をしている状態になっている。
それ故に、私達幹部と、千鶴はそれぞれ個室があり…正直これでいいのだろうかと思ってしまうのがある。
総「だけど、僕達新選組を受け入れてくれる場所なんて、何か心当たりでもあるんですか?」
総司が軽い口調で尋ねれば土方さんは口元に少しだけ笑みを讃えて
土方「西本願寺」
「「「西本願寺ぃ!?」」」
しかし、聞いた張本人である総司は笑っていた。
総「あははは!それ、絶対嫌がられるじゃないですか!」
翡翠「総司、笑うのはよさぬか。」
総「まぁまぁ、翡翠、反対も強引に押し切るつもりなら、それはそれで土方さんらしいじゃない?」
同意を求めてくるように首をかしげる。
まぁ…そうかもしれない。
千鶴「えっと…。」
左之「確かにあの寺なら十分広いな。
……ま、坊主どもは嫌がるだろうが。それに西本願寺からなら、いざというときにも動きやすいだろ。」
左之いうことにも一理ある
何故ならば壬生は京の外れに位置しているからだ。
千鶴「そんなに嫌がられそうなんですか?」
一「西本願寺は長州に協力的だ。何度か浪士を匿っていたこともある。」
翡翠「それに…西本願寺を抑えれば…長州の者達は近づかなくなる。」
…西本願寺さえ抑えればあとはこっちのものだ。
兄上は言葉を続ける。
一「故に…敵の場所を…無くせばいい、ということだ。」
千鶴にわかりやすく説明すると
千鶴は納得したような顔だった。
…西本願寺…。か。
そして、山南さんが眉間に皺を寄せていた。