桜花乱舞

□第拾壱話〜瑠璃の嫉妬〜
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池田屋事件から四ヶ月、禁門の変から三ヶ月たった十月。
涼しい風が吹き渡って私の頬を撫でる。
今日は一番組、十一番組が非番だった。


翡翠「兄上、今から巡察ですか?」


大広間に向かっていった時、兄上が隊服を着ていたのが見えて
私はそちらへと向かう。


一「ああ。夕方の巡察だ。」


翡翠「そうですか…いってらっしゃい。兄上っ!」


兄上はふっ、と笑って私の頭に手を置いて優しく撫でる。
正直、これにもいまだに慣れない私だ。
…実質、総司にやられるともっと恥ずかしいわけで。



山崎「あ…西園寺組長…山南さんが呼んでいます。」


翡翠「ありがとう。山崎くん。」



山南さんの用事ってなんだろう。
買い出しなのかな…ま、しょうがない。まだ…傷が治っていないのだから。


私は山崎君に言われて山南さんのいる部屋へと向かった。





*




…やっぱり…山南さんの部屋から見える縁側の景色がいいなぁ…
と思ってしまう私がいるが、今はそれどころではなかった



翡翠「山南さん、私に何かようですか?」



山南「ああ、西園寺君…すみませんね…呼び出したりしてしまって。」



左腕を抱えて山南さんはニコヤカに座って、私を見る。
とりあえず、座ってくださいと促されて私はそのとおりに座った。


山南「あのですね。西園寺君…実は…墨を切らしてしまって…買って来て欲しいのですが…。」



翡翠「あ、分かりました。山南さん。」



どうやら机の上にあるのは書類のようだった。
やっぱり大変なんだなぁ…と改めて思ってしまう。
私は、墨を買いに行くため、市井へと向かった。
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