桜花乱舞

□第拾話〜禁門の変事件録3〜
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平助「総司!翡翠!山南さんが何か聞いて欲しい話があるみたいだぜ!」


翡翠「山南さんから?珍しいな。」


総「どうしたんだろ…急に。」


山南さんが自分から聞いて欲しいことがあるなど滅多にない。
それだけ私や平助、総司は何か重要な話があるのだろうと思っていた。


大広間につけば、山南さんは古い書物を開いて読んでいた。
そして私や平助、総司、そして氷雨朱虎、山崎君皆揃っていた。


総「どうしたのさ。山南さんから聞いて欲しい話があるなんてさ。」


含み笑いをしながら総司が言う。
すると山南さんはふっ、と笑って髪の毛を揺らす。



山南「…沖田君…変若水が…何からできているか知っていますか?」



【変若水】と言った瞬間、顔色が変わった。



総「僕、そういうの興味ないからなぁ…。何だろうね?平助。」



平助「はぁっ!?オレに話振るなよ総司!何だと思う?翡翠!!!」



コイツらの責任逃れなんざ散々見てきたが…。
新選組幹部ならばそれぐらいのこと知っていて当然ではないのか…。



翡翠「話によれば…西洋の鬼の血を薄めてできたもの、それが変若水といわれていますが…それがどうかしたのですか。」



山南さんは私に目を細める。



山南「そうです。…しかし、欠点が多すぎる…。」



変若水の研究は幕府から密命で行われている研究。
ゆえに、この研究に関わっていたかつての局長…芹沢鴨、新見は新選組によって手を下した。
変若水は飲めば若返り筋肉が増強し、人間以上の力を手に入れ、体の傷の直りも早くなる。
しかし、それは大きな欠点が、二つ。
一つ目は日の光に弱いこと。二つ目は血を欲することだった。



平助「まだ研究続けてたのかよ!?もう、これ以上の犠牲者を出すのは止めようぜ!山南さん!!!」




山「藤堂君。」



強く、平助の苗字を呼べば悔しげな顔をしている山南さん。
…平助の視界に入ったのはーーー【動かなくなった左腕】だった。




山南「私は…もう、剣士として死んでいるも当然なのですよ。」



自虐的な…悲しそうな笑い。
「げんに、今の長州討伐にも参加ができていない」と。
事実であることに変わりは無かった。




総「ーーで、前置きはいいとして、何ですか?聞いて欲しい話って。」




山南「ああ、そうでしたね。うっかりしていました。」



にこやかに笑う山南さんだが目元が笑っていなかった。
…そしてめがねをカチャ、と上に動かすと真剣な目で私を見た。



山南「西洋には…【鬼】が存在します。この国にも…【鬼】はいると思いますか?」
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