桜花乱舞

□第捌話〜禁門の変事件録1〜
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池田屋事件…それは、私達新選組の名が一気に世へと広まる出来事であった。
しかし、それとは裏腹に…多くの犠牲者を出したものでもある。
総司は胸部に打撃を受け、しばらくの隊務には参加できない状態であった。


総「つまんないなぁ…。」


ふくれっつらになりながらおとなしく布団に入っている。
今は七月、夏の暑い時期だ。つまらないものは無理もない。



翡翠「総司…仕方が無いであろう…。怪我をしてしまったんだから。」



体が訛っているのは無理もない話しかもしれない。
現に此処最近…稽古にも顔を出していないからな。


総「あの…浪士……強いね。」


あの浪士とは金髪紅目のことだろう。
…私を見る目が…憎悪と何かが混ざっていた気がするが…気のせいだろうか?


翡翠「そう…だな。」


池田屋事件の後、目が覚める前に見たあの夢とあの浪士は何か繋がりがあるのだろうか。
自分の中でもそんな疑問しか浮かんでこない。



総「あ、ねぇ…翡翠…一君から聞いた?」



翡翠「兄上?何も聞いていないが…。」


そういえば…今朝、千鶴と新八と左之が玄関前で何かを話していたことを思い出す
いや、でも私はそのときは壬生寺の境内で稽古だ。



総「あー…やっぱね。言ってないと思った。あのね…翡翠」



最近、町人の様子がおかしいと思ったらね。
どうやら京が戦火に巻き込まれるとかで…皆、引越しとかしてるんだって。



翡翠「引越し…?何故、引越しがいるのだ。」



今の時期はまだ七月。
言われてみれば…総司の言うことも一理あるかもしれない。
池田屋事件以後でも新選組の評価は高くなった一方ではあるが相変わらず長州の人気は高い。



総「で…対長州で僕らが出動命令出るかも…って一君がさ。」



翡翠「池田屋といい今回といい…一体何なんだ。」



総「ねえ、翡翠金平糖食べたいな。持ってきてくれない?」



総司の頼みだ、仕方があるまい
私はため息をついて、金平糖をとりにいく。










総「……ケホッ、ケホッ。」
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