桜花乱舞
□第参話〜兄の褒め言葉〜
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文久四年の一月。
年が明けて結構経つ。
そして千鶴が来てからだいぶ経つ。
平「あー…年明けたのいいけど…また巡察の範囲が広くなっちまった…。」
そういいながら隊士の後ろをあるく私と平助。
今日の巡察の当番は八番組と十一番組だ。
翡翠「平助、嘆いていても仕方が無いであろう。」
平「ま、そうなんだけどさ…。何かこう…もっと捕り物とか増えてもいいと思うんだよな…。」
喧嘩早い平助は周りからは【魁先生】といわれている。
…左之や新八が来ると悪化する。
翡翠「実質、幕府の体制も緩んでいる…今の京は治安も悪化しつつある…。これからそういうのが増えてきてしまう。」
平「ま、これが時代の流れだからしょうがねえよ。それよりさ、翡翠千鶴っていつから出れそうになんのかな。」
素直な碧色の瞳は私を映して
その返答を待っていた。
翡翠「正直、なんとも言えないことだ…土方さんは今大阪に出張中だし…。
副長の許可が無い以上、私達幹部では何もできない、というのが現実であろうな。」
平「…屯所の中ばっかじゃさ、可哀想じゃね?そりゃ、【あれ】を見ちまった以上千鶴への態度も…冷たくなっちゃうわけだしさ」
「なんかこう…矛盾してるよなぁ…、」と、平助は言う。
まぁ、間違ってはいないのだが…それでも、千鶴は一生懸命だ。
軟禁状態であろうとも脱走しないのがしっかりしていると思う。
翡翠「…巡察には…同行できるようにしてやりたいのだが…。
何かがあったとき…自分のみは自分で守ってもらわねば困るしな。」
平「一君とか…行動起こしそうだよな。」
翡翠「兄上ならやりかねんな。」
そんな会話をしながら…
私と平助は巡察をしていた。
*
巡察から戻った後。
総「翡翠お帰り。巡察終わったんだね。」
総司が木刀を片手に私を出迎えてきた。
…私は今鉢金に羽織という状態…まあ、木刀を構えているときは大体。
翡翠「総司、一番隊の稽古を私達の隊とやろうか…。しばし待ってくれ。羽織を脱ぎたい。」
総「わー…流石翡翠だね。」
私は羽織と鉢金をとり、木刀を持って
中庭へと向かった。