桜花乱舞
□第弐話〜見破られた正体〜
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…今は空気事態が最悪だ。
昨日、見えた千鶴の処遇について今幹部たちで話し合っている。
土「洗いざらい…すべて話せ。」
静かに聞こえる土方さんの声。
兄上、総司、私、平助、左之、新八を含めて視線は千鶴へと集中していた。
千鶴「はい、私は江戸の生まれで…父は、蘭方医をしていました…。」
蘭方医か…珍しくは無いが…。
父が医療の心得があるのならば、きっと彼女も…医療の心得はあるのだろう。
千鶴「…そして、父は…半年前に、京に行く、と言って以来…しばらくの間は連絡があったのですが…。音信不通になって…。」
平「…んで、京にきたって訳か…すげーな。千鶴。」
左之「女の子が一人で父捜しに京へ出向く…な。平助お前じゃ、無理だな。」
[#da=1#]「黙らぬか平助、左之話を最後まで聞け。」
半年前に音信不通…?
あれは忘れもしない、夏になる前の出来事…。
前川邸で火事があった。
その火事で、一人行方不明になった蘭方医がいた。
名はーー『雪村 網道』
実際、火事の現場には燃えかけていた書簡はあった。
私もそれは見ている…ということは…。
近「そうか……遠路はるばる…京までなあ…。
してそのお父上は何をしに京へ?」
[#da=1#]「近藤さん、お話の途中失礼いたします。」
近藤さんの話をさえぎるのはまずい話…。
だが、これは一つの確信になるかもしれないということ。
[#da=1#]「…近藤さん…半年前の…屯所内の火事を覚えていますでしょうか…?」
目に浮かぶのは燃え尽きた…前川邸の倉庫…。
何の為に火付けをし…行方を暗ましたのかそれを理由に
網道さん探しをしていたのは事実である。
山南「ああ…あれですか。あれで一人行方不明になりましたねえ…。」
千鶴「あっ、あの私の父の名は…雪村網道という蘭方医なんです」
千鶴は『雪村網道』といった。
瞬間局長や、副長を初め、兄上総司達の視線が一気に凍てつくのがわかる。
総「え、じゃあ…この子……。」
一「網道さんのご息女だな。」
千鶴はなぜ知っているのだろうという顔をしているが。
新選組と網道さんの関係は『切っても切れない関係』である
[#da=1#]「千鶴、すまないが網道さんは今行方知れずでな。」
そして項垂れる千鶴だったが
千鶴「父様のこと何か知っているのですか!?」
血相を変えてそういう
総「ごめんね。今僕らも網道さんの行方を総力を上げて…捜しているんだ。」
土「ということだ…雪村、網道さんが見つかるまで、新選組預かりだ。その代わり…小間として働いてもらうぞ。」
そうして、千鶴の処遇が決まった。
総「[#da=1#]、久しぶりに手合わせしようよ。」
[#da=1#]「手、抜くなよ。」
私と総司は中庭の方へと向かった。