時代の遊子

□拾伍頁目〜過去との接触〜
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総「僕の名前は…沖田総司。」



目の前にいるのは洋装をまとった加州の主こと…沖田総司だった。
彼ははにかみながら妾達に話しかける。



総「ここも戦場になるから…早く退いたほうがいい。」



麟翔「ご忠告…痛み入る…行くぞ…。」



加州を連れてこの場から離れようとしたとき強い力で腕を掴まれてとっさに妾は後ろを振り向く。



総「失礼なんじゃない?僕は名前を名乗ったよ?キミたちはどこからきたの?
…服装から見るに…他所の国からきたの?」



麟翔「妾の名は…櫻華――『総司っ!』



加州「え…嘘でしょ…なんで…翡翠さんが此処に…。」



現れたのは…妾の主…現在の主か、それとも過去の主なのか…見当がつかなかった。



翡翠「何をしているんだ総司っ!あれ程寝ていろと言ったではないかっ!」



総「あははごめんごめん…なぁーんだ…見つかっちゃった。」




翡翠「早く療養所に戻れ。近藤さんが心配しているぞ。」



主はそういうと沖田総司の背中を押してそそくさと行ってしまった。



麟翔「助かった……。」



加州「麟翔さん…さっきのさ…多分現在の主だと…思うんだ。」



麟翔「主が…此処に降りるのは…禁忌なのでは…。」



加州は悔しそうに拳を握りながらつぶやく。
ーーどうしてーーと。



滲んだ紅色の瞳には静かに涙が浮かび上がっていた。
加州を慰めようと手を伸ばしかけた時、ザシュッという音共に…妾の背中に鋭い痛みが走った。




加州「麟翔さんっ、麟翔さん!?」



麟翔「痛っ……はっ…斬られ…ると、こんな…痛みが…鋭いんだな…。」



加州「アンタは喋っちゃダメだろ!くそっ…囲まれたかっ…。」




周りには短刀と脇差たちが骨をキシキシとならしながら
目を不気味に光らせて今か今かと襲う機会を狙っている。




そして刀を構える加州の前に…
大きな穴が空間にぽっかりとあいた。
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