時代の遊子

□拾肆頁目〜蝕み、滅ぶ身体〜
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加州「あーあ。とうとう来ちゃったよ」


周りを眺めればあちこちには銃を持った幕兵がいた。
……どうやら、こちらのことは気付いていないらしい。


加州「…とりあえず、安定探さないと。」


とん、岩から軽く飛び降りる加州を横目に見ながら
視界に広がる光景を目に焼き付ける。


『なっ…なんだ!?新政府軍の敵かっ!?』


キリキリと骨の音を鳴らしながら幕兵に近づく修正主義者の短刀。


バンッ、バンッ


銃を撃っても弾は弾かれてしまう。



『くっ、くそっ…、倒れねェじゃねぇかっ!』



妾と加州は腰にある本体を抜いた。



そして奇声を発しながら…幕兵を襲おうとしたその時。



一閃の煌めきが縦に短刀を切り裂いた。
短刀は黒い煙となって消えてしまう。



?『ねぇ…キミさ、ここでぼーっとしてないで…さっさと兵に戻ってくれない?
土方さんに怒られるけど…いいの?』



その声を聴いた刹那、加州は唖然と言わんばかりに彼の方へと視線を集中させる。
加州は悲しげに笑って…目前にいる人を見る。



『おっ…沖田さん、良いんですか?』



麟翔「沖田…総司…。」



加州「あーあ。調子狂うなあ…全くさ。…っなんで…あの人がっ…鳥羽にっ。」



総『ちょっと嫌な予感がしたからね。それより…早くいってくれる?邪魔なんだけど』



冷たい目を幕兵へとむけると幕兵は慄いて、本陣があるであろう方向へ行ってしまった。




"元の主と接触してはならない"



…接触してしまえば歴史が変わる。
それは、歴史修正主義者からすれば好都合なことであろう。
ならばきっと加州清光の主ーー沖田総司が此処にいるのは。
"歴史修正がされ始めている"といっても過言ではないだろう。



麟翔「加州よ…妾の姿は恐らく…見えていない筈…。早急にこの場から立ち去るぞ。」




加州「元主とは…接触してはいけないんでしょ。わかってるって。」




見えていない、そう思い込んでいた妾だが…。




総『あのさ、そこの桜色の髪の毛の人と、赤色の襟巻してるキミたちどこの兵なの?
場合によっては…斬るよ?』



…気づかれていたのか。



麟翔「…妾達はーー「ダメだろ接触しちゃ」




口を塞がれてたあと、少し引きずられて沖田総司が見えなくなった辺りまで来る。



加州の肩はわずかではあるが…震えていた。
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