時代の遊子

□拾参頁目〜主の存在理由〜
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ガキィン!

金属音が狭い室内を響かせる。
繰り出される剣戟は凄まじい。。


大和守『清光っ!清光っ!大丈夫!?』


加州『……痛っ…へへっ、大丈夫だって。余計な心配しちゃダメ』


…何が、大丈夫だ。
安定は俺を心配し過ぎだって。
…主だって、俺を信用して使ってくれてるんだ。


期待に添えるように…しないとねっ!
主は俺を構えて、彼の喉元にむかって得意の突きを入れようとする。


千景『ふん、容易い…こんなもの…』


総『まだ…まだ戦えるっ…』


よろめきながら立つ主。
ほら、あきらめが悪いのは俺達だってそうだろ?安定。


大和守「おい…清光!それ以上やったら…お前の身が持たないだろっ!」



加州「ははっ、何言ってんの。俺だってせっかく久々に構ってもらったんだ。
…それに、主は俺を使ってくれてる…。
それだけで嬉しいことぐらい…分かってるでしょうに。」



刹那、浪士が大上段で振りかぶってくる。
ガキィン…!
再び、火花が散った。



ーー嗚呼、こんな感覚久々だ…。主、俺嬉しいよ?アンタに構ってもらえるのも
使ってもらえるのも。



だが、力は相手の方が圧倒的に上だった。



バキン!



力に耐えかねた刀は中を舞って壁に突き刺さった。



加州「はっ…ははっ…ご…め…ん……やすさだ…」



大和守「……清光っ!清光っ!おい、消えるなよ!」




加州「あ…るじ…を……た…の………だ。」




其処から俺の記憶は一切……無かった。


そして幾年がたったのかな。
誰かの声に呼ばれて、其処に行った。



ーーその声の主は…主の…いや、違うな。



ーーーー前の主の愛していた人だった。






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