時代の遊子

□拾弐頁目〜我、君ヲ愛ス〜
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今剣「麟翔ーっ!あるじさまがよんでいますよ!」


ひょこり、と顔を出した今剣。
主に呼ばれている、と言い妾を引っ張りながら主のいる執務室へと連れて行く。


麟翔「今剣、そう急くでないぞ。」


今剣「麟翔はまだきのうここにきたばかりなのですっ!
だからっ、だから、ぼくがあんないしてあげるんですよ!」


今剣は"本丸"と呼ばれる場所の説明を彼の知っている知識で説明してくれた。
各それぞれの付喪神達は刀派、または刀の種類によって部屋があてられていることや
朝餉、夕餉などは自給自足だということ。
いろいろなことを、教えてくれる今剣に感謝していた。


今剣「で、ここのいちばんおく、ぼくたちのとなりが
あるじさまのいるおへやですよ!」


部屋のところには"三条派"とかかれていた。
…ここが妾が過ごす場所…か。
今剣は嬉しそうに話しながら障子をあける。


今剣「いま、みんなは…えんせいや、しゅつじんしているので…。
まだだれがいるかはないしょなのです!麟翔っ!」



麟翔「今剣、案内ご苦労」


そういうと今剣はコクリ、と嬉しそうにうなずいて
廊下を走って行ってしまった。



そして妾は主の部屋の前に立つ。
深呼吸をし、障子に手をかけて開けると…。


綺麗な、赤色の瞳をした…青年がいた。
彼は、妾を見るなり大きくその眼を開かせる。



?「アンタ…まさか…。」



翡翠「…ああ、麟翔か…入ってくれ。」



切なげに眉をしかめた主は妾を部屋に入るように促す。
そして赤色の瞳をした彼は妾をじっと、見つめてくる。




翡翠「…加州…紹介しよう…といっても知っているな?」




クスッと苦笑した主は"加州"といった。




加州「あーあ…まぁいいや…改めて紹介する。
川の下の子…なーんてね…俺の名前は加州清光よろしく。」




麟翔「加州って……主っ!」




翡翠「嗚呼…私の…総司の…愛刀だ…。」




主は、悲しげに笑った。
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