時代の遊子

□拾弐頁目〜我、君ヲ愛ス〜
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加州『…ねぇ、大和守』


大和守『なんだよ…お前から話しかけてくるなんて珍しいね』


加州『主はまた、自分を責めるね。』


大和守『沖田くんは優しすぎるからね』


加州『なんなの?あの翡翠ってやつ。ムカつくなぁー…』


大和守『…でも、彼女は主を愛してくれているよ?』


ただ、その時オレは気に入らなかった。
嬉しそうにオレ達を手入れしてくれているときの顔と。
あの女と一緒にいる時との主の顔が全然違う。


大和守『ぼくらは"物"にしか過ぎないんだ。それはお前も分かってるだろ?』



加州『はいはい、確かにオレらは道具だね…だけど、腕のあるあの人に振るってもらえるから
力が発揮できるんだよねー』



大和守『…沖田くんは僕らを大事にしてくれてるだろ?』


確かに、大和守が言うのも一理ある。
だけど…なんとなく、納得がいかなかった。
確かにオレと大和守は物にしか過ぎない。
もし、もしも…刀としとではなく。
なんらかの"形"としてあの人に会えたら…。
あの人はなんて、答えてくれるのだろうか。


ーーオレや、大和守を…愛してくれるのかな。



大和守『…きっと、翡翠さんは沖田君をたくさん愛してくれるさ』


加州『それでもオレは気に入らないからね!』


大和守『まったく、強情だなあ…』


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