時代の遊子
□玖頁目〜歯止め〜
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赤々と燃える西日、庭から物憂れげに西の方向を見る…。
麟翔「………また、戦が始まるのか…」
平安、それは藤原氏が栄枯を極めた時代でありそしてまた
麟翔らが生まれた時期でもある。
ここ最近…平清盛が力をつけ、東国の方では源頼朝らが打倒平氏を掲げ西国へと攻め入ってくると。
…宮中務めの主も…天皇の勅命により…また戦に駆り出されるのだろうか…。
妾自身が生み出された当初、"鬼がうった刀"というのは一部の人間しか知らなんだはずだった。
それを知っているのは師匠である三条宗近と…陰陽師安陪清明。
炎に包まれ…華々しい市井は戦場へそして…この屋敷も又…戦場へ。
いつまで、続くのだろうか。
突如ドスン、と鈍い音と共に何かがぶつかってきた音がした。
……見慣れた烏帽子…きれいな白の髪の毛。
赤い大きな瞳が妾を覗いた。
今剣「ひさしぶりですねっあそんでくーださいっ!!!」
麟翔「今剣…か…久しいな。岩融はどうした?」
きょとん、と今剣は首を傾げた。
そしてニコッと笑って、さらに妾の袴をギュッと掴んで言う。
今剣「ぼく…よしつねこうのまもりがたなだから…戦にでなきゃいけないんですよう…。」
麟翔「今剣、いつの世も戦いだ…妾もきっと…戦場に駆り出される…。」
そして……妾は…その戦で…力を、暴走させた。
玖頁目〜歯止め〜