時代の遊子
□漆頁目〜運命分かつ場所〜
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ジャララララ、ガキン。
冷たい金属音が時ノ廻廊に響いた。
函館の地へと赴くための門が鎖によって戒められた。
こんの助「…また、襲撃されぬよう…このようにして、閉じていくのです。」
堀川「……もう、行くことも無いんだね。」
悲しげに呟く堀川、それを慰めるかのように肩に手を置く和泉守。
和泉守「行くことはねぇが…俺たちが主と過ごした記憶は…より、鮮明だ。
嫌だったことも楽しかったこともな」
麟翔「妾達の記憶は永遠となるもの…あの現に生きる限り消えはしない」
和泉守「珍しく、らしかねぇこと言うじゃねぇか。」
堀川「兼さん、それ失礼じゃない…?」
麟翔)「失敬だぞ和泉守。妾は当然のことを言ったまでだ。」
少し険悪な空気になりつつあると、コホン!という咳払いとともに
妾達は咳払いの会ったほうへと視線を向けた。
こんの助「喧嘩はそこまでにしてください。さて、次の扉が現れる頃です。」
すると、"函館"と書かれた門の横に薄い青色の門がうっすらと浮かんできた。
ガコン、鈍い音ともにそれは現れて、札には
麟翔「あい…づ…。」
和泉守「会津か…。」
堀川「会津…ですか…」
会津と書かれた札を見て、私は愕然とすることしかできなかった。