時代の遊子
□漆頁目〜運命分かつ場所〜
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江戸幕府は倒れ、新選組は朝敵となり、北へ北へと追いやられていく最中。
最早、妾達…否、刀剣の時代は終わりを告げていた。
それでも、主の兄上ーー斎藤一は"武士の魂"は揺るがぬと。
主は…鳥羽・伏見の戦いで戦線を離脱した…筈だった。
そして、主にとって忌まわしき記憶の地…【西園寺ノ郷】に戻る最中に一報が入った。
千鶴の養父である雪村網道がすべての黒幕であると
大和守『…麟翔さん、君の主は…戻ってくるよね?沖田君を一人にしないよね?』
麟翔『心配はいらぬ…主は…絶対…戻ってくる』
そうして、急いで会津へと向かった妾の主…
そこで待っていたのは…
――兄妹の別れであった。
翡翠『御冗談を寄してください兄上っ…会津に残って戦を続けるのは!』
一『翡翠…やっと、俺は居場所を見つけられたのだ…。そして、雪村網道と決着をつける』
翡翠『では…一族の決着を…ここでつけるのですか…』
一『…仕方が無かろう…現にいま、網道の羅刹隊がここに迫ってきている…俺は全力で叩き潰すつもりだ…』
主は、自身の兄の揺るがない決意に諦めるしかなかった。
そして、ボロボロと涙をこぼしながら一つ
##NAM#2##『…兄上っ…どうか、どうかお気をつけて…』
地面に滴るしずくが、泣き叫ぶ主の声が、今でも耳の中に鮮明に残っていた。
漆頁目〜運命分かつ場所〜