時代の遊子

□伍頁目〜戦、開幕〜
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"兼さん!兼さん!"



んだよ…堀川…。何をうれしそうな顔をしてやがる。
今、そんな状態じゃねぇだろうが。



土『隊を抜ける…そうか』



主、鬼の副長あろうものがなんつー顔してんだ。
いつの記憶だ…もう300年以上も前の記憶か…。


刀が終わりを告げる…そんな時代に生まれたオレは…どこか、踏ん切りがつかないときがあった。



鳥羽で…主、土方歳三とは犬猿の中ではあったが…何気に可愛がっていた沖田総司と西園寺麟翔が抜けた。



土『…総司は正直可愛くねェ…だが、弟みたいな存在なんだ』



池田屋で沖田総司が負傷し…床についていたとき…局長である近藤勇に話していた。
その時の顔は…非常に頬が緩んでいた。





しかし





函館では昼夜問わず働いていた。
羅刹になって身であるのに…日の光が大丈夫じゃねェ癖に。


土『大丈夫だ』



必ず、主は穏やかに笑って答えていた。






堀川『大丈夫じゃないのにね…』




堀川は悲しげに。そう答えた。



そして現在



幕府の陣地に俺はいた。
また忌まわしき戦い…今度は歴史を修正する奴らとの戦い。



具現化した俺は今、時の廻廊で奇襲に会い元の姿に戻されている。



目の前で渋い顔をした主は…。
悔しそうに、うつむいていた。



ーーー早く、俺を助けにきやがれ、堀川ーーー




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