時代の遊子

□弐頁目〜案内人〜
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しばらく歩き続けていると
地面が青白く光っていることに麟翔は気づいた。
いや、地面そのものがと言った方が正しいのだろう。
淡く光るそれはこんの助がピタリとその場に止まるとより一層、輝きを増した。



麟翔「こんの助…とやら…お前は一体何者だ…。」



静かな声音で目の前にいる白狐、こんの助に問いかけた。
声に気付いてくるりと振り向きこんの助は目を閉じて、何かを唱え始めた。



麟翔「扉…?」



こんの助の背後に緑青色の門が周囲の青白い光を集めて形を作っていく。




こんの助「改めて…自己紹介をさせていただきます…。
私は政府より使わされました時の案内人兼番人…こんの助と申します。」




自己紹介が終わるのとほぼ同時に扉は麟翔の目に見える形で
その場に現れた。


そこには大きい張り紙で"解放禁ず"と書かれている。




こんの助「此処の扉を解放するには…麟翔様、貴女様に飲んでいただきたい条件があります。」




麟翔「ほう、その条件とはな?」




こんの助は口を開いて条件を言った。




一つ、歴史修正主義者を殲滅すること



二つ、時代に散らばった各々刀を封印から解くこと。



三つ、−−−事実を、変えないこと。





それがこんの助の言う条件だった。
麟翔は黙ってこんの助を見てうなずくことしかできなかった。




函館…それは新選組にとっては終焉の地。
土方歳三が…死んだ地。



維新ともなれば……確実にあの時代へと行くこともなんとなくではあるが感づいていた。






麟翔「皮肉なものだな…いいであろう。妾はその歴史修正なんちゃらの殲滅をすればいいのだな?」





こんの助はコクリ、とうなずいて
扉の方へと踵を返した。




ギィ…




扉の軋む音が耳に響いた。
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