綴手記〜色彩ノ華〜
□仁義なき戦い〜布団を馬糞から守れ〜
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翡翠「悪いが此処三日は本丸を留守にする。しっかりと鯰尾や骨喰の言うことを聞くように」
「はいっ」
部屋に響く返事。
そう、主は本日から遠出をすることになった。
元はと言えば池田屋の作戦会議を政府で開くことになったらしく
元新選組幹部ということでその時代を知り尽くしている彼女は通達が来た。
一期「…皆ちゃんと言うことを聞いてくださいね」
近侍に選ばれたのは皮肉なことに一期一振だった。
粟田口の長男であり…弟達に礼儀をしっかりと教える兄が…でかける。
鯰尾「俺に任せてくださいっ」
アホ毛を跳ねさせながら鯰尾は得意げに言う。そして隣にいた骨喰もこくりと真面目にうなずいて一期はくすっと笑った。
一期「ではいってまいります」
一期と麟翔は本丸の玄関を出て行った。
彼らは長兄の帰還を待ちながら自由に規制もなくできることを楽しみにしていた。
二人の背中が見えなくなるとくるっと鯰尾は悪戯めいた笑顔を浮かべる。
何か不吉な予感を感じ取った骨喰は彼のアホ毛を引っ張った。
鯰「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
骨「…馬糞…ダメ」
鯰「どうして分かったの骨喰っ」
骨「……なんとなく」
本丸での馬糞投げは禁止されていることを知っている骨喰。
そしてそれをあえてやろうとしていた鯰尾は掴まれたアホ毛を直しながら言う。
鯰「…もー…あ、そうだ…後藤と厚と薬研と信濃と乱」
「「「「「はい」」」」」
年長者たちは呼ばれてピシッと背筋を伸ばす。
目の前にいる兄からどんな命令が下されるのだろうと内心ドキドキしていた。
鯰「えっと…弟達の布団を干すようにっていち兄から言伝あるからよろしく」
大将直々の命令とあってやる気になる厚と後藤。
そしてそれを傍目に薬研は何か良からぬことが起こりそうで難しい顔をした。
信濃「薬研?どうしたの」
薬研「否…ちょっと…嫌な予感が」
からっと乾いた空気に低い位置で太陽が輝く。
絶好の洗濯物日和ではあるのだが…。
厚「なぁっ後藤」
後藤「どうしたんだよ厚」
厚「どっちが多く干せるか競争しよう」
後藤「いいぜ!」
厚と後藤は本丸の庭の方へと勢いよくかけていく。
乱「あーあ…いいの?信濃兄さん、薬研兄さん」
信濃「うーん…どう思う?薬研」
薬研「…さぁな」